第6話
name change
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パーティが始まった。
次元は宮殿に近寄ることができず、遠くから広間を観察していた。
庭のテラスに近い辺りには明かりが置かれ、宮殿に近寄れば見つかる危険があった。
双眼鏡でしばらく観察していると、綾が広間に姿を現した。
パルドアに腕を預け、レディ・ローラを従えている。
「おいルパン。綾だ。広間に姿を現した」
『様子はどうだ?』
綾は青いドレスを身に着け、ブロンドを頭の高い位置でまとめている。
会場を照らすオレンジ色の照明に映え、ひときわ美しい。
『次元? どしたぁ?』
ルパンの声に我に返った次元は、双眼鏡を構えなおした。
綾は一応笑顔を浮かべてはいるが、口元が引きつっている。
時折、目が不安そうに広間を泳いだ。
「伯爵野郎がぴったり張り付いていやがる。逃げられなくて困ってるようだぜ」
『スケベ社長に絡まれる新人社員みたいだな』
のんきな事を。
次元は舌打ちをした。
『あ、今チッ、って言ったでしょ。舌打ちしたでしょ。感じわるーい!』
「うるせぇ。そっちの首尾はどうなんだ」
「うん、あとちょっと。三つのダイヤルと鍵穴が一個ある金庫があんだけっど、これ鍵穴とダイヤルが連動してるみたいでさ、開けるのにちょっと手間取ってんの」
「金庫の造りなんざ、どうでも良い。それより綾だ」
『しばらく様子見たら?』
「あのなぁ」
『ケンカ。したんでショ、お前』
ルパンの言葉に次元は言葉につまった。
『今顔を合わせたって気まずいだけなんだから、ちょっと様子を見たら?』
「…………」
『あれだろ? 彼女が王子相手に迫真のロマンスを演じたもんで、妬いたんだろ?』
「違う。あいつは……」
次元はうめくように言った。
綾は俺を練習台にしてクラウスへの恋を演じたのだ。
『本気だと思ったの?』
あの顔を思い出すと胸が痛い。
「彼女は芝居をしただけだった。クラウスにも……俺にも」
通信機からため息が聞こえた。
「お前、今ため息ついただろ。ついたな。感じ悪いぞ」
『やり返すなよ、大人気ない』
ルパンがもう1度ため息をつく。
『お前、演技かそうでないかの区別もつかないワケ? それって、そうとうトーヘンボクだと思うぜ次元』
「毎度不二子に騙されているお前に言われたくねぇ」
『お前が唐変木でなきゃ、綾の演技がアカデミー賞もんだったって事じゃねぇか。それはそれで喜ぶべきだろう』
喜べるか、そんなモン。
次元は双眼鏡を地面に叩きつけたくなった。
『分かっているクセに』
「何が」
『彼女の言葉を真に受けたフリしてっけど、それってお前の演技だろ? 下手だぜ。もう大根役者もいいとこ』
「なんだと?」
『スマートな愛情表現をする王子に妬いたんだって、素直に認めたらどーお?』
「余計なお世話なんだよ!」
『あ、図星』
「うるせぇ!」
『取り込み中のところすまないのだが』
すまなさそうな感じはまったく無い五エ門の声が口喧嘩に割って入った。
『ソーントンが綾に盗聴器をつけた。それが拾った音声を転送する』
『転送って。五エ門、そんな事できんの?』
『容易いこと』
と五エ門は胸を張ったが、実際は受信機に自分の通信機を近づけるという、かなりアナクロなやり方なのだった。
次元は宮殿に近寄ることができず、遠くから広間を観察していた。
庭のテラスに近い辺りには明かりが置かれ、宮殿に近寄れば見つかる危険があった。
双眼鏡でしばらく観察していると、綾が広間に姿を現した。
パルドアに腕を預け、レディ・ローラを従えている。
「おいルパン。綾だ。広間に姿を現した」
『様子はどうだ?』
綾は青いドレスを身に着け、ブロンドを頭の高い位置でまとめている。
会場を照らすオレンジ色の照明に映え、ひときわ美しい。
『次元? どしたぁ?』
ルパンの声に我に返った次元は、双眼鏡を構えなおした。
綾は一応笑顔を浮かべてはいるが、口元が引きつっている。
時折、目が不安そうに広間を泳いだ。
「伯爵野郎がぴったり張り付いていやがる。逃げられなくて困ってるようだぜ」
『スケベ社長に絡まれる新人社員みたいだな』
のんきな事を。
次元は舌打ちをした。
『あ、今チッ、って言ったでしょ。舌打ちしたでしょ。感じわるーい!』
「うるせぇ。そっちの首尾はどうなんだ」
「うん、あとちょっと。三つのダイヤルと鍵穴が一個ある金庫があんだけっど、これ鍵穴とダイヤルが連動してるみたいでさ、開けるのにちょっと手間取ってんの」
「金庫の造りなんざ、どうでも良い。それより綾だ」
『しばらく様子見たら?』
「あのなぁ」
『ケンカ。したんでショ、お前』
ルパンの言葉に次元は言葉につまった。
『今顔を合わせたって気まずいだけなんだから、ちょっと様子を見たら?』
「…………」
『あれだろ? 彼女が王子相手に迫真のロマンスを演じたもんで、妬いたんだろ?』
「違う。あいつは……」
次元はうめくように言った。
綾は俺を練習台にしてクラウスへの恋を演じたのだ。
『本気だと思ったの?』
あの顔を思い出すと胸が痛い。
「彼女は芝居をしただけだった。クラウスにも……俺にも」
通信機からため息が聞こえた。
「お前、今ため息ついただろ。ついたな。感じ悪いぞ」
『やり返すなよ、大人気ない』
ルパンがもう1度ため息をつく。
『お前、演技かそうでないかの区別もつかないワケ? それって、そうとうトーヘンボクだと思うぜ次元』
「毎度不二子に騙されているお前に言われたくねぇ」
『お前が唐変木でなきゃ、綾の演技がアカデミー賞もんだったって事じゃねぇか。それはそれで喜ぶべきだろう』
喜べるか、そんなモン。
次元は双眼鏡を地面に叩きつけたくなった。
『分かっているクセに』
「何が」
『彼女の言葉を真に受けたフリしてっけど、それってお前の演技だろ? 下手だぜ。もう大根役者もいいとこ』
「なんだと?」
『スマートな愛情表現をする王子に妬いたんだって、素直に認めたらどーお?』
「余計なお世話なんだよ!」
『あ、図星』
「うるせぇ!」
『取り込み中のところすまないのだが』
すまなさそうな感じはまったく無い五エ門の声が口喧嘩に割って入った。
『ソーントンが綾に盗聴器をつけた。それが拾った音声を転送する』
『転送って。五エ門、そんな事できんの?』
『容易いこと』
と五エ門は胸を張ったが、実際は受信機に自分の通信機を近づけるという、かなりアナクロなやり方なのだった。