第6話
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広間の入口でソーントンが待ち受けていた。
綾を見るなり飛んでくる。
「王女! 探しましたよ」
「お戻りになるよう、お伝えはしたんですがね。娘とそれは楽しそうにお話しなさっていて、とても強くは言えなかったのですよ」
パルドアが苦笑しながら言うのを、綾は苦々しく思いながら聞いていた。
「大事な物をお忘れです」
ソーントンはビロードのケースから出したネックレスを彼女の首にかけた。
ルナトーンのイミテーションだ。
「すべき事はお忘れになりませんように。リラックスして、笑顔で」
ソーントンが符牒めいた言葉を囁く。
クラウスに伝説の事を訊くという当初の目的を示唆しているのだろう。
当然、このイミテーションの宝石には盗聴器が仕込まれている。
既にクラウスから情報を得ているが、それはソーントンには話していない。
ルパンがソルライトを手に入れれば、ここにいる必要はなくなる。
それまでの辛抱だ。
「分かっているわ」
綾は小さくうなずいた。
「プルーデンス!」
会場に入るとクラウスが出迎えた。
綾の差し出した両手を握り、一歩ひいて彼女の全身を見て嬉しそうに笑う。
「綺麗だ。本当に」
「クラウス王子」
パルドアが2人の間に割って入った。
クラウスは怪訝な顔をする。
「パルドア卿とレディ・ローラ? なぜ彼女と?」
「娘が仲良くさせて頂きましてね」
パルドアがにっこりと笑ったが、綾には含み笑いにしか見えなかった。
クラウスの視線がローラに向くと、彼女は丁寧に膝を折って優雅にお辞儀をした。
「お招きありがとう存じます、殿下」
「あぁ、楽しんでくれ」
クラウスはそれだけ言うと綾に視線を戻した。
一度離した手を再度握る。
「プルーデンス、見せたいものがあるんだ」
「クラウス王子」
咳払いをして、パルドアが再度割り込んだ。
「プルーデンス王女はサプライズをご用意しているそうですよ」
「サプライズ?」
「何を発表なさるのか、楽しみですな」
「発表? 何だい?」
クラウスは目をキラキラさせて綾を見つめた。
彼の背後でパルドアが挑戦的な目をして成り行きを見守っている。
綾が婚約破棄を宣言するのか、それとも王女の偽者だと白状するのか、楽しみに待っているのだ。
綾は目をそらした。
必死で考える。
「えぇと、そうね……あぁ、後で話すわ。まだ始まったばかりなのに、最初にプレゼントを開けてしまってはつまらないでしょう?」
「それもそうだね」
クラウスの同意に綾はホッと胸をなでおろした。
「それで、私に見せたい物ってなに?」
「最初にプレゼントを開けてしまってはつまらないんだろう? だから、ダンスの後にしよう」
カドリール、ポルカ、ワルツ。
ソーントンに厳しく教わり、その後も舞台で役に立つかもと練習をしていたせいで、綾は一通りのダンスをそつなくこなせる。
手に手をとり、回り、背中合わせにすれ違い、お辞儀。
「ねぇクラウス」
綾は意を決して口を開いた。
大ごとになる前に本当のことを全て話してしまおうと決めたのだった。
しかし、すぐ隣でパルドアが踊っているのに気づいた綾は口をつぐむしかなかった。
「何? どうしたの」
「ううん、何でもないの。見せたい物って何だろうって、気になって……」
そう言って笑ってごまかすしかなかった。
綾を見るなり飛んでくる。
「王女! 探しましたよ」
「お戻りになるよう、お伝えはしたんですがね。娘とそれは楽しそうにお話しなさっていて、とても強くは言えなかったのですよ」
パルドアが苦笑しながら言うのを、綾は苦々しく思いながら聞いていた。
「大事な物をお忘れです」
ソーントンはビロードのケースから出したネックレスを彼女の首にかけた。
ルナトーンのイミテーションだ。
「すべき事はお忘れになりませんように。リラックスして、笑顔で」
ソーントンが符牒めいた言葉を囁く。
クラウスに伝説の事を訊くという当初の目的を示唆しているのだろう。
当然、このイミテーションの宝石には盗聴器が仕込まれている。
既にクラウスから情報を得ているが、それはソーントンには話していない。
ルパンがソルライトを手に入れれば、ここにいる必要はなくなる。
それまでの辛抱だ。
「分かっているわ」
綾は小さくうなずいた。
「プルーデンス!」
会場に入るとクラウスが出迎えた。
綾の差し出した両手を握り、一歩ひいて彼女の全身を見て嬉しそうに笑う。
「綺麗だ。本当に」
「クラウス王子」
パルドアが2人の間に割って入った。
クラウスは怪訝な顔をする。
「パルドア卿とレディ・ローラ? なぜ彼女と?」
「娘が仲良くさせて頂きましてね」
パルドアがにっこりと笑ったが、綾には含み笑いにしか見えなかった。
クラウスの視線がローラに向くと、彼女は丁寧に膝を折って優雅にお辞儀をした。
「お招きありがとう存じます、殿下」
「あぁ、楽しんでくれ」
クラウスはそれだけ言うと綾に視線を戻した。
一度離した手を再度握る。
「プルーデンス、見せたいものがあるんだ」
「クラウス王子」
咳払いをして、パルドアが再度割り込んだ。
「プルーデンス王女はサプライズをご用意しているそうですよ」
「サプライズ?」
「何を発表なさるのか、楽しみですな」
「発表? 何だい?」
クラウスは目をキラキラさせて綾を見つめた。
彼の背後でパルドアが挑戦的な目をして成り行きを見守っている。
綾が婚約破棄を宣言するのか、それとも王女の偽者だと白状するのか、楽しみに待っているのだ。
綾は目をそらした。
必死で考える。
「えぇと、そうね……あぁ、後で話すわ。まだ始まったばかりなのに、最初にプレゼントを開けてしまってはつまらないでしょう?」
「それもそうだね」
クラウスの同意に綾はホッと胸をなでおろした。
「それで、私に見せたい物ってなに?」
「最初にプレゼントを開けてしまってはつまらないんだろう? だから、ダンスの後にしよう」
カドリール、ポルカ、ワルツ。
ソーントンに厳しく教わり、その後も舞台で役に立つかもと練習をしていたせいで、綾は一通りのダンスをそつなくこなせる。
手に手をとり、回り、背中合わせにすれ違い、お辞儀。
「ねぇクラウス」
綾は意を決して口を開いた。
大ごとになる前に本当のことを全て話してしまおうと決めたのだった。
しかし、すぐ隣でパルドアが踊っているのに気づいた綾は口をつぐむしかなかった。
「何? どうしたの」
「ううん、何でもないの。見せたい物って何だろうって、気になって……」
そう言って笑ってごまかすしかなかった。