第4話
name change
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綾は次元の言動が理解できず、暗い気持ちで廊下を歩いていた。
嫉妬だったのではと考えてみた。
恋人が自分以外の人間と目の前でラブシーンを繰り広げたのだ、怒るのも理解できる。
でも『プルーデンスの振りをしている以上拒めない』と、きちんと言ったはずだ。
(それなのに、あんな強引な……)
荒々しい彼のキスを思い出して、綾は戸惑う。
『誰でも良いのか』
『俺は練習台か』
彼の言葉の意味が、まったくもって理解できなかった。
『言ったはず』と綾は思っているが、実際には『言ったつもり』なのである。
言葉足らずなのは彼女の悪い癖だ。
上演時間の限られた中で、短い台詞でいかに多くの事柄を観客に伝えるか。
それが芝居である。
長く芝居に熱中してきたせいで、彼女は実生活においても時々、言葉を省略するようになっていた。
芝居では台詞で説明しなくても音楽、照明などで人物の心情やドラマの方向性が理解できるようにできている。
楽しい場面では明るい音楽を流したり、後の恐ろしいシーンを暗示させる為に照明を落としてスモークを炊くといった具合だ。
しかし現実ではそうはいかない。
人の気持ちなど、言わなければ分からないものだ。
そういった事を、綾はまったく自覚していなかった。
「おはようございます」
自分の足もとを見つめて歩いていた綾はハッとして顔を上げた。
目の前にはがっしりとした体格の紳士が立っている。
綾と目が合うとゆっくりと頭を下げた。
「あなたは……」
綾は頭をフル回転させ、記憶の中から眼前の紳士の素性を引っ張り出した。
王女として立場は彼よりも上。
綾は彼のお辞儀よりも浅く、首をかしげる程度に会釈して微笑んだ。
「お久しぶりですね、パルドア伯。トートンでの舞踏会以来かしら」
するとパルドアは目を細めた。
「はじめまして、の間違いでしょうな。トートンで私がお会いしたのは本物のプルーデンス王女ですから」
パルドアが一歩綾に詰め寄る。
威圧的な瞳が彼女を睨みつけていた。
嫉妬だったのではと考えてみた。
恋人が自分以外の人間と目の前でラブシーンを繰り広げたのだ、怒るのも理解できる。
でも『プルーデンスの振りをしている以上拒めない』と、きちんと言ったはずだ。
(それなのに、あんな強引な……)
荒々しい彼のキスを思い出して、綾は戸惑う。
『誰でも良いのか』
『俺は練習台か』
彼の言葉の意味が、まったくもって理解できなかった。
『言ったはず』と綾は思っているが、実際には『言ったつもり』なのである。
言葉足らずなのは彼女の悪い癖だ。
上演時間の限られた中で、短い台詞でいかに多くの事柄を観客に伝えるか。
それが芝居である。
長く芝居に熱中してきたせいで、彼女は実生活においても時々、言葉を省略するようになっていた。
芝居では台詞で説明しなくても音楽、照明などで人物の心情やドラマの方向性が理解できるようにできている。
楽しい場面では明るい音楽を流したり、後の恐ろしいシーンを暗示させる為に照明を落としてスモークを炊くといった具合だ。
しかし現実ではそうはいかない。
人の気持ちなど、言わなければ分からないものだ。
そういった事を、綾はまったく自覚していなかった。
「おはようございます」
自分の足もとを見つめて歩いていた綾はハッとして顔を上げた。
目の前にはがっしりとした体格の紳士が立っている。
綾と目が合うとゆっくりと頭を下げた。
「あなたは……」
綾は頭をフル回転させ、記憶の中から眼前の紳士の素性を引っ張り出した。
王女として立場は彼よりも上。
綾は彼のお辞儀よりも浅く、首をかしげる程度に会釈して微笑んだ。
「お久しぶりですね、パルドア伯。トートンでの舞踏会以来かしら」
するとパルドアは目を細めた。
「はじめまして、の間違いでしょうな。トートンで私がお会いしたのは本物のプルーデンス王女ですから」
パルドアが一歩綾に詰め寄る。
威圧的な瞳が彼女を睨みつけていた。