第3話
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「ちょっと、」
あてがわれた部屋へ引き下がると、綾は顔に貼り付けた行儀のいい笑みを引っ込めて五エ門に詰め寄った。
「あなたもしかして、列車の天井をくり抜いたヒト?」
「左様」
五エ門は苦笑しながら頷いた。
「どうしてここに?」
「お主のそばに誰かいた方が都合が良い。次元が来たがったのだが、面が割れているのでな」
「お面が何ですって?」
「顔が知られていると言ったのだ」
「あぁ、そう。そうね」
綾は頷いた。
「それで、ソーントンはお主に何をしろと?」
「クラウス王子に近づいて、新月の伝説についてそれとなく聞き出せって言われたんだけど……」
綾は戸惑っていた。
ユニシア王宮の中でしか伝わっていない伝説を、隣国の王子が知っているとも思えない。
「頭が変だと思われて結婚が破談なんて事になったら私、王女に合わせる顔がないわ」
「ソーントンの目的はユニシア王家の安泰だと言ったな」
少し考えてから五エ門が口を開いた。
「彼の言葉が本当なら、破談にはならんだろう」
「王子がルナトーンにまつわるあの伝説を知ってるって事?」
綾は五エ門を見上げた。
「それは話してみなければ分からぬが……案ずるな、いざとなれば次元が何とかするだろう」
「次元が?」
「姿を隠してはいるが近くにいるはずだ」
「そう。そうなのね」
彼女の顔に安堵の笑みが浮かぶのを、五エ門は微笑ましく見つめた。
常に危険と隣り合わせのルパンファミリーにはどうって事はない。
誘拐も、その救出も、その失敗も。
だが彼女は普通の女性で、危険とは無縁の生活をしていたのだ。
今までパニックも起こさず冷静だったが、本当はとても心細かったに違いない。
「話してみるといい。緊張もほぐれるだろう」
五エ門は自分の通信機を指差した。
綾はポケットからトフィーの通信機を取り出す。
「拙者は周辺を見回って来る」
彼女を部屋に残し、五エ門は廊下に出た。
ドアの前にはソーントンが立っており、ドアが開いた瞬間にバツの悪い顔をして1歩下がった。
聞き耳を立てていたのだろうが、それを見越して小声で話をしていたから聞かれてはいないだろう。
五エ門は入れ違いに入室しようとしたソーントンの前に立ちふさがる。
「王女は寝室へ入られた。しばらく起こさぬようにとの事だ」
有無を言わせない態度に、ソーントンは嫌そうな顔をした。
「長旅でお疲れなのだろう。ここは拙者が見張るゆえ、そなたは下がられよ」
ソーントンはドアの前に胡坐を書いた五エ門を胡散臭そうに見ていたが、やがて黙って廊下を引き返していった。
あてがわれた部屋へ引き下がると、綾は顔に貼り付けた行儀のいい笑みを引っ込めて五エ門に詰め寄った。
「あなたもしかして、列車の天井をくり抜いたヒト?」
「左様」
五エ門は苦笑しながら頷いた。
「どうしてここに?」
「お主のそばに誰かいた方が都合が良い。次元が来たがったのだが、面が割れているのでな」
「お面が何ですって?」
「顔が知られていると言ったのだ」
「あぁ、そう。そうね」
綾は頷いた。
「それで、ソーントンはお主に何をしろと?」
「クラウス王子に近づいて、新月の伝説についてそれとなく聞き出せって言われたんだけど……」
綾は戸惑っていた。
ユニシア王宮の中でしか伝わっていない伝説を、隣国の王子が知っているとも思えない。
「頭が変だと思われて結婚が破談なんて事になったら私、王女に合わせる顔がないわ」
「ソーントンの目的はユニシア王家の安泰だと言ったな」
少し考えてから五エ門が口を開いた。
「彼の言葉が本当なら、破談にはならんだろう」
「王子がルナトーンにまつわるあの伝説を知ってるって事?」
綾は五エ門を見上げた。
「それは話してみなければ分からぬが……案ずるな、いざとなれば次元が何とかするだろう」
「次元が?」
「姿を隠してはいるが近くにいるはずだ」
「そう。そうなのね」
彼女の顔に安堵の笑みが浮かぶのを、五エ門は微笑ましく見つめた。
常に危険と隣り合わせのルパンファミリーにはどうって事はない。
誘拐も、その救出も、その失敗も。
だが彼女は普通の女性で、危険とは無縁の生活をしていたのだ。
今までパニックも起こさず冷静だったが、本当はとても心細かったに違いない。
「話してみるといい。緊張もほぐれるだろう」
五エ門は自分の通信機を指差した。
綾はポケットからトフィーの通信機を取り出す。
「拙者は周辺を見回って来る」
彼女を部屋に残し、五エ門は廊下に出た。
ドアの前にはソーントンが立っており、ドアが開いた瞬間にバツの悪い顔をして1歩下がった。
聞き耳を立てていたのだろうが、それを見越して小声で話をしていたから聞かれてはいないだろう。
五エ門は入れ違いに入室しようとしたソーントンの前に立ちふさがる。
「王女は寝室へ入られた。しばらく起こさぬようにとの事だ」
有無を言わせない態度に、ソーントンは嫌そうな顔をした。
「長旅でお疲れなのだろう。ここは拙者が見張るゆえ、そなたは下がられよ」
ソーントンはドアの前に胡坐を書いた五エ門を胡散臭そうに見ていたが、やがて黙って廊下を引き返していった。