第2話
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綾はしばらくデッキに座り込んだままだった。
2両目と4両目の車両は既に連結され、切り離した3両目はとっくに見えなくなっている。
「綾さん?」
バスルームに行ったきり、なかなか戻ってこないのを心配したソーントンが様子を見に出てきた。
綾のスカートが引きちぎられているのを見て息を呑む。
「いったい何があったんですか」
「その……ちょっと逃げようと思って」
「走行中の列車から飛び降りる気だったんですか?」
ソーントンの声がわずかに大きくなった。
わが子の悪戯に手を焼く親のように、深いため息をつく。
「なんて事を。もう少しレディらしくおしとやかにできないんですか」
「『ごきげんよう』とでも言えって言うの? 『素晴らしい眺めね』とか? はっ、バッカみたい」
思わずきつい口調で綾は言い返した。
「自分を浚った相手に、できる訳がない」
「ごもっともです」
ソーントンは頷いた。
「ですが、お怪我をなさったりしたら、将来の映画界・演劇界は大損です」
綾は驚いてソーントンを見上げた。
彼の表情がわずかに緩む。
綾はまた一面だけで人を判断していたと反省した。
女性を浚っておきながら眉一つ動かさない冷淡な人だと思っていたが、どうやらそれは間違っていたらしい。
「お願いですから、もう危険な事はしないでください。あなたが大人しくしてさえくれれば、私たちも手荒な事はいたしませんから」
ソーントンの言葉に、綾はただ黙って頷いた。
2両目と4両目の車両は既に連結され、切り離した3両目はとっくに見えなくなっている。
「綾さん?」
バスルームに行ったきり、なかなか戻ってこないのを心配したソーントンが様子を見に出てきた。
綾のスカートが引きちぎられているのを見て息を呑む。
「いったい何があったんですか」
「その……ちょっと逃げようと思って」
「走行中の列車から飛び降りる気だったんですか?」
ソーントンの声がわずかに大きくなった。
わが子の悪戯に手を焼く親のように、深いため息をつく。
「なんて事を。もう少しレディらしくおしとやかにできないんですか」
「『ごきげんよう』とでも言えって言うの? 『素晴らしい眺めね』とか? はっ、バッカみたい」
思わずきつい口調で綾は言い返した。
「自分を浚った相手に、できる訳がない」
「ごもっともです」
ソーントンは頷いた。
「ですが、お怪我をなさったりしたら、将来の映画界・演劇界は大損です」
綾は驚いてソーントンを見上げた。
彼の表情がわずかに緩む。
綾はまた一面だけで人を判断していたと反省した。
女性を浚っておきながら眉一つ動かさない冷淡な人だと思っていたが、どうやらそれは間違っていたらしい。
「お願いですから、もう危険な事はしないでください。あなたが大人しくしてさえくれれば、私たちも手荒な事はいたしませんから」
ソーントンの言葉に、綾はただ黙って頷いた。