第2話
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程なくして、列車は止まった。
架線トラブルのために停止を余儀なくされたのだ。
綾は窓際に座り、前方に見える給水塔を注意深く観察した。
給水塔は蒸気機関車の時代に使われていた物だ。
コンクリートの基礎の上に据えられた円筒型のタンクは錆びて茶色くなっている。
上へあがる為の鉄製のはしごがついていたが、これもタンクと同様に錆び付いていて、体重をかけたらとたんに崩れそうな様子だった。
(身を隠す場所がどこにもない……)
周りは見晴らしの良い平地で、給水塔以外の人工物はといえば、線路と平行して伸びる自動車用の舗装道路だけだ。
(もしも、逃げられないのなら)
綾は膝の上で丸まっているトフィーの背を撫でた。
個室の窓は開かないようになっている。
開けられそうなのはトイレの喚起窓くらいだ。
トフィーだけならあの小さな窓でも抜け出せるだろう。
そっと抱き上げると、トフィーは目を開けて脚をバタつかせた。
「大丈夫だから、良い子にして」
小声で言い聞かせる。
立ち上がってドアに手をかけた時、また悪魔の四連符が鳴った。
入ってきたソーントンは油断なく室内を見回して異変がないかチェックし、それからじっと綾を見つめた。
『何か隠しているな』と
そう言われている気がして、落ち着かなくなる。
「あのっ、」
堪らず口を開いた綾にソーントンは有無を言わせず、
「お食事です。テーブルへ」
とだけ告げた。
架線トラブルのために停止を余儀なくされたのだ。
綾は窓際に座り、前方に見える給水塔を注意深く観察した。
給水塔は蒸気機関車の時代に使われていた物だ。
コンクリートの基礎の上に据えられた円筒型のタンクは錆びて茶色くなっている。
上へあがる為の鉄製のはしごがついていたが、これもタンクと同様に錆び付いていて、体重をかけたらとたんに崩れそうな様子だった。
(身を隠す場所がどこにもない……)
周りは見晴らしの良い平地で、給水塔以外の人工物はといえば、線路と平行して伸びる自動車用の舗装道路だけだ。
(もしも、逃げられないのなら)
綾は膝の上で丸まっているトフィーの背を撫でた。
個室の窓は開かないようになっている。
開けられそうなのはトイレの喚起窓くらいだ。
トフィーだけならあの小さな窓でも抜け出せるだろう。
そっと抱き上げると、トフィーは目を開けて脚をバタつかせた。
「大丈夫だから、良い子にして」
小声で言い聞かせる。
立ち上がってドアに手をかけた時、また悪魔の四連符が鳴った。
入ってきたソーントンは油断なく室内を見回して異変がないかチェックし、それからじっと綾を見つめた。
『何か隠しているな』と
そう言われている気がして、落ち着かなくなる。
「あのっ、」
堪らず口を開いた綾にソーントンは有無を言わせず、
「お食事です。テーブルへ」
とだけ告げた。