第2話
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強めに四連符を叩いたようなノックに、綾は急いで通信機を切った。
トフィーの金色の毛に通信機を潜り込ませ、頭を撫でる。
「せっかくいい感じだったのに、邪魔が入っちゃったわね」
「申し訳ありません」
入ってきたソーントンは結構な音量でがなり立てているラップに眉をひそめ、パソコンの電源を落としてしまった。
ルパンとの会話を聞かれない為の対策だったので別に構わなかったが、心象が悪い。
「こういう音楽がお好きとは、意外ですね」
「そのパソコンを好きに使って構わないって言ったのは、そっちでしょう? ユーチューブくらい良いじゃない。I'm the one がソフィーのお気に入りなの……ジャスティン・ビーバーが好みなのかも」
「まぁ結構ですが……音量は控えめにお願いします。外まで漏れていますので」
「Oh-eh-oh-oh-oh, oh-eh-oh……」
「やめてください!」
少し口ずさんだだけでピシャリと制止された。
何が『結構ですが』だ、結局この手の曲が嫌いなんじゃないか。
綾もさすがにムッとしてソーントンから顔を背けた。
ソーントンは深呼吸をして気を静め、子供を諭すようにゆっくりと言った。
「もう少し品よくお願いします。あなたは明日、王女としてクラウス王子に会っていただくのですから」
「王女の身代わりにしようとしているのは分かってたわ。こんな格好をさせられればね」
「よくお似合いです」
ソーントンはドレス姿の綾を見て口の端をゆがめ、わずかにそれとわかる程度の笑みを浮かべた。
口先だけのお世辞であり、何とも思っていないのは明らかだった。
再びノックがあり、側近の1人が入ってきた。
「この先で架線トラブルが発生したらしくて、無線が入りました。7キロ先の古い給水タンクの辺りで待機しろと」
「馬鹿な。御料車だぞ」
「言いましたが、それならなおさらだと…… どうしますか」
「仕方ない、事故でも起きたらコトだ。指示に従え」
「了解しました」
綾はトフィーを抱き上げ、黙ってその話を聞いていた。
架線トラブル万歳。
その隙に列車から降りて逃げられるかもしれない。
「余計なことは考えない方がいいですよ。逃げられては困るから、そんな恰好をしていただいているのです」
綾の考えを見透かして、ソーントンが冷ややかに言った。
確かに、生地をたっぷりと使ったスカートのために動きが制限されている。
「私をクラウス王子に合わせて、何をさせるつもりなの」
ソーントンは答えなかった。
トフィーの金色の毛に通信機を潜り込ませ、頭を撫でる。
「せっかくいい感じだったのに、邪魔が入っちゃったわね」
「申し訳ありません」
入ってきたソーントンは結構な音量でがなり立てているラップに眉をひそめ、パソコンの電源を落としてしまった。
ルパンとの会話を聞かれない為の対策だったので別に構わなかったが、心象が悪い。
「こういう音楽がお好きとは、意外ですね」
「そのパソコンを好きに使って構わないって言ったのは、そっちでしょう? ユーチューブくらい良いじゃない。I'm the one がソフィーのお気に入りなの……ジャスティン・ビーバーが好みなのかも」
「まぁ結構ですが……音量は控えめにお願いします。外まで漏れていますので」
「Oh-eh-oh-oh-oh, oh-eh-oh……」
「やめてください!」
少し口ずさんだだけでピシャリと制止された。
何が『結構ですが』だ、結局この手の曲が嫌いなんじゃないか。
綾もさすがにムッとしてソーントンから顔を背けた。
ソーントンは深呼吸をして気を静め、子供を諭すようにゆっくりと言った。
「もう少し品よくお願いします。あなたは明日、王女としてクラウス王子に会っていただくのですから」
「王女の身代わりにしようとしているのは分かってたわ。こんな格好をさせられればね」
「よくお似合いです」
ソーントンはドレス姿の綾を見て口の端をゆがめ、わずかにそれとわかる程度の笑みを浮かべた。
口先だけのお世辞であり、何とも思っていないのは明らかだった。
再びノックがあり、側近の1人が入ってきた。
「この先で架線トラブルが発生したらしくて、無線が入りました。7キロ先の古い給水タンクの辺りで待機しろと」
「馬鹿な。御料車だぞ」
「言いましたが、それならなおさらだと…… どうしますか」
「仕方ない、事故でも起きたらコトだ。指示に従え」
「了解しました」
綾はトフィーを抱き上げ、黙ってその話を聞いていた。
架線トラブル万歳。
その隙に列車から降りて逃げられるかもしれない。
「余計なことは考えない方がいいですよ。逃げられては困るから、そんな恰好をしていただいているのです」
綾の考えを見透かして、ソーントンが冷ややかに言った。
確かに、生地をたっぷりと使ったスカートのために動きが制限されている。
「私をクラウス王子に合わせて、何をさせるつもりなの」
ソーントンは答えなかった。