第2話
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『……えて。お願い……』
かすかな声が聞こえてきて、ルパンはポケットから通信機を取り出した。
『次元、ルパン。応えて……』
囁くような綾の声。
「ハイハイ、こちらルパン。ちゃんと聞こえてるよ」
応答すれば、安堵の溜息が聞こえた。
彼女に合わせてこちらも声のトーンは控えめにする。
「ずいぶんと小声だけど、監視でもされてるの?」
『いいえ、一応個室を与えられているわ。でも廊下に見張りがいるから大声は出せない』
「了解。で、その通信機はどうしたの?」
ソーントンに不意打ちのようにして拐われたのだ。
通信機を持ち出す余裕はなかった筈だ。
『トフィーが隠し持っていたの。昨日ブラッシングした時に見つけたのよ』
「お手柄だな、トフィー」
『今までは手を出すと噛みつこうとしてたのに、この前あなた達と通信出来た時、初めて触らせてくれたの』
ルパンは少し首を捻った。
「俺らの会話を聞いて触らせてくれたとしたら、そのウサギは言葉を理解してるって事か……?」
『えっ』
ガタッと椅子の音がした。
ウサギを振り返ったのだろう。
『そんな風には見えないけど……』
綾はそこで一旦口をつぐみ、それから躊躇うようにおずおずと言った。
『ねぇ。本当にトフィーはあなた達の仲間だと思う?』
次元は有り得ない、と首を振る。
ルパンは肩をすくめた。
「うーん、どうだろう。ルナトーンを盗んだのは確かに俺達の仲間だし、その仲間もルナトーンも行方知れずってのもまた事実ではあるんだけど、それだけでソーントンみたいに狂信的になるのもちょっとねぇ」
『そう……』
「綾、君はどうしてウサギの引き渡しを拒否したんだ? 拐われてまで拒むことはなかったんじゃないの?」
『私は、』
少し、声色が変わった。
柔らかい声。
『もしソーントンさんの言う事が本当なら、もう1度会えると思ったのよ……あ、』
彼女の言葉はきついドアノックの音にかき消された。
綾は返事をしながら立ち上がる。
『誰か来たわ。それじゃ』
「ちょ、綾! すぐ助けに行くから待ってて!」
ルパンが一番大事なことを口にした時には、すでに彼女の通信は遮断された後だった。
かすかな声が聞こえてきて、ルパンはポケットから通信機を取り出した。
『次元、ルパン。応えて……』
囁くような綾の声。
「ハイハイ、こちらルパン。ちゃんと聞こえてるよ」
応答すれば、安堵の溜息が聞こえた。
彼女に合わせてこちらも声のトーンは控えめにする。
「ずいぶんと小声だけど、監視でもされてるの?」
『いいえ、一応個室を与えられているわ。でも廊下に見張りがいるから大声は出せない』
「了解。で、その通信機はどうしたの?」
ソーントンに不意打ちのようにして拐われたのだ。
通信機を持ち出す余裕はなかった筈だ。
『トフィーが隠し持っていたの。昨日ブラッシングした時に見つけたのよ』
「お手柄だな、トフィー」
『今までは手を出すと噛みつこうとしてたのに、この前あなた達と通信出来た時、初めて触らせてくれたの』
ルパンは少し首を捻った。
「俺らの会話を聞いて触らせてくれたとしたら、そのウサギは言葉を理解してるって事か……?」
『えっ』
ガタッと椅子の音がした。
ウサギを振り返ったのだろう。
『そんな風には見えないけど……』
綾はそこで一旦口をつぐみ、それから躊躇うようにおずおずと言った。
『ねぇ。本当にトフィーはあなた達の仲間だと思う?』
次元は有り得ない、と首を振る。
ルパンは肩をすくめた。
「うーん、どうだろう。ルナトーンを盗んだのは確かに俺達の仲間だし、その仲間もルナトーンも行方知れずってのもまた事実ではあるんだけど、それだけでソーントンみたいに狂信的になるのもちょっとねぇ」
『そう……』
「綾、君はどうしてウサギの引き渡しを拒否したんだ? 拐われてまで拒むことはなかったんじゃないの?」
『私は、』
少し、声色が変わった。
柔らかい声。
『もしソーントンさんの言う事が本当なら、もう1度会えると思ったのよ……あ、』
彼女の言葉はきついドアノックの音にかき消された。
綾は返事をしながら立ち上がる。
『誰か来たわ。それじゃ』
「ちょ、綾! すぐ助けに行くから待ってて!」
ルパンが一番大事なことを口にした時には、すでに彼女の通信は遮断された後だった。