第3話
name change
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視線の先に光る“それ”に気づいたのは、次元も綾もほぼ同時だった。
「なんだ?」
次元は彼女より先にそれに歩み寄った。
「なっ……?」
自分の目が信じられず、次元は瞬きを繰り返した。
金色の毛並みを持ったウサギが1羽、耳をピンと立ててこちらを見つめ返している。
ここは隣国の王子の歓迎レセプション会場。
動物園でもペットショップでもない。
こんな物がいるのはどう考えても変だ。
次元はウサギの耳をわし掴みにして持ち上げ、仔細に眺め回した。
テロ目的の精巧なロボットという線はまず最初に消えた。
爆弾もない。
ただのウサギだ。
ジタバタともがくウサギを腕に抱え直して、次元は後ろ手に綾を手招きする。
その隙に、ウサギはいきなり次元の手に噛み付いた。
「うわっ、噛みやがったコイツ!」
次元は綾の方にウサギを押しやった。
受け取った彼女もさすがに目を丸くする。
「なんでこんな所にウサギが……?」
「さぁな。早く逃がさないとお前も噛み付かれるぞ」
綾は困ったような顔をしてウサギを見つめた。
ウサギは彼女よりも次元が気になるらしく、まだじっと睨みつけている。
可愛さのかけらもない。
「それじゃぁ私、この子を警備の人に渡してくるわ」
「あぁ、行って来い」
綾はゆっくりと廊下を歩いていく。
次元はその背中をじっと見つめた。
歩くたび、彼女の髪が優しく揺れている。
次に彼女が見られるのは、舞台の上か、スクリーンの中か。
『楽しみにしてるぜ……』
彼女の姿がドアの向こうに消えると、次元は静かにその場を離れた。
おわり
「金色ウサギと赤い竜」へ続く
「なんだ?」
次元は彼女より先にそれに歩み寄った。
「なっ……?」
自分の目が信じられず、次元は瞬きを繰り返した。
金色の毛並みを持ったウサギが1羽、耳をピンと立ててこちらを見つめ返している。
ここは隣国の王子の歓迎レセプション会場。
動物園でもペットショップでもない。
こんな物がいるのはどう考えても変だ。
次元はウサギの耳をわし掴みにして持ち上げ、仔細に眺め回した。
テロ目的の精巧なロボットという線はまず最初に消えた。
爆弾もない。
ただのウサギだ。
ジタバタともがくウサギを腕に抱え直して、次元は後ろ手に綾を手招きする。
その隙に、ウサギはいきなり次元の手に噛み付いた。
「うわっ、噛みやがったコイツ!」
次元は綾の方にウサギを押しやった。
受け取った彼女もさすがに目を丸くする。
「なんでこんな所にウサギが……?」
「さぁな。早く逃がさないとお前も噛み付かれるぞ」
綾は困ったような顔をしてウサギを見つめた。
ウサギは彼女よりも次元が気になるらしく、まだじっと睨みつけている。
可愛さのかけらもない。
「それじゃぁ私、この子を警備の人に渡してくるわ」
「あぁ、行って来い」
綾はゆっくりと廊下を歩いていく。
次元はその背中をじっと見つめた。
歩くたび、彼女の髪が優しく揺れている。
次に彼女が見られるのは、舞台の上か、スクリーンの中か。
『楽しみにしてるぜ……』
彼女の姿がドアの向こうに消えると、次元は静かにその場を離れた。
おわり
「金色ウサギと赤い竜」へ続く
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