数分後、二人は未知の惑星に降り立った。

周りには美しい光景が広がっている。

青い空に白い雲、そして輝く草原が一面に広がり、遠くには奇妙な形をした木々が並んでいる。

「ここ、すごく綺麗……」

綾は目を見開き、驚きの声を上げた。

「未来はいつだってこんな感じだよ。静かな惑星を選んで正解だ」

ドクターは満足そうに笑った。

綾はその言葉に心が温かくなり、ドクターの笑顔に引き寄せられるような気がした。

どんなに時空を越えても、ドクターと一緒にいると、どこかで安心できる。

彼の存在が、綾にとっての支えになっている。

「君が望むなら、いつでも連れてこよう」

「でも、ドクター……」

綾は少し不安そうに声をかける。

ドクターは振り返って、綾を見つめた。

「なんだい？」

「今はこうやって一緒に冒険しているけど……ずっと一緒にいられるわけじゃないんだよね？」

綾は少し沈んだ声で言った。

彼女はドクターがどんな存在で、どれほど多くの時代を生き抜いてきたのかを知っている。

だから、いつか別れが来るのは避けられないことだと思っている。

ドクターは少しの間黙ってから、ゆっくりと歩き出す。綾もその後をついていく。

「もちろん、そうだ」

ドクターは静かに言った。

「僕は時空を超える。君がどんなに遠くに行っても、君の時間がどんなに変わっても、綾、僕は君を忘れないよ」

ドクターはそう言って、綾を振り返った。

「私も……忘れないよ、ドクター」

綾は小さな声で返し、ドクターを見つめた。

ドクターはふっと笑った。

「僕らがお互いを忘れるなんてあり得ないさ！　だって君は、もう僕の大切な仲間だからね」

その言葉に綾は少し目を潤ませ、それでも、嬉しそうに笑った。

二人は惑星を散策し、何気ない冒険を楽しんだ。

ドクターの不思議な能力と、その温かい言葉に、綾の心は何度も揺れ動く。

彼女は知っている。

ドクターとの時間は、どんなに短くても、かけがえのないものだということを。

そして、その日がいつか来ることを感じながらも、今、この瞬間を大切にしたいと綾は強く思った。



終わり