綾は、まるで夢のような世界に生きている気がしていた。

「君がいるだけで、宇宙がもっと面白くなるんだよ」

ドクターが言った。

彼の言葉は、いつも予測できないタイミングで飛び出す。

まるで何もかもが遊び心に満ちていて、でもどこか心の奥で確信を持っているような感じだ。

ドクターと一緒にいると、時間が少しずつ、時には一気に流れる。

何もかもが不確かで不安定だ。

そんな世界でも綾は、自分の存在がこんなにも特別だと思う瞬間がある。

ドクターのそばいると、どんなに奇妙な場所でも、どんなに危険な状況でも、心が温かくなるからだ。

「ドクター、どこに行くの？」

綾はターディスのコントロール室で、好奇心に満ちた眼差しをドクターに向けた。

ドクターは少し不思議そうに振り返った。

「どこに行くかは、君が決めるんだよ」

そう、彼はいつもそう言って、綾の手を引いてどこかへ飛び出す。

それが冒険の始まりだった。

今日もまた、二人で新しい世界に足を踏み入れるところだった。

「じゃあ、行きたい場所があるんだ」

綾は言った。

自分でも意外だったが、この瞬間に突然、行きたい場所が閃いたのだ。

ドクターは目を細め、

「どこだい？」と尋ねる。

綾は少しだけ顔を赤らめながら、目を泳がせた。

「えっと……未来のどこか、静かなところ」

行きたい場所があると言った割には具体的ではなく、綾は急に恥ずかしくなった。

ドクターは一瞬黙った後、

「未来か……静かなところか、君らしいね」と言った。

ターディスが動き出す。

そして、二人はまた新しい時代へと飛び立った。