ハートがほしい
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「失敗かぁ……」
店先の来客用のソファに腰かけ、大きなため息をつく。
今更、文化の違いを認識してしまった。
この国ではキスだのハグだのはただの挨拶だ。
「結局、ドキドキしたのは私だけか……」
「私も結構ドキドキしたよ。我が子の成長を見守る親のような心境だった」
「わっ⁉︎」
ふいに背後から声をかけられて、私は椅子から転げ落ちそうになった。
すぐ真後ろにボブが立っていた。
「急に現れるの、やめてくれない? その死神みたいな顔、心臓に悪い」
「私は死神ではないよ」
「みたい、って言ったでしょ」
ボブは髑髏に宿る亡霊で、ハリーのサポートをしている。
仲良しねって言ったことがあるけど、それはハリーに否定された。
支配隷属関係にあるだけで、髑髏から解放されるためにボブはハリーの本名を探っているらしい。
本名を知れば魔法で主従関係を断ち切り、自由の身になれる。
その前にハリーが死んでしまえば永久に髑髏に閉じ込められてしまうため、仕方なくハリーをサポートしているという訳だ。
「もう、いつもそうやって私を驚かせて。寿命が縮みそう」
「それは申し訳ない。でも君の反応が可愛くてね、止められないんだ」
ボブはいつも私を子ども扱いする。
そりゃあ、ウン百歳の彼からすれば私なんか赤ん坊みたいなものだろうが、私は面白くないのだった。
「用がないなら私の前から消えて。髑髏に帰んなさいよ」
「つれないな。力を貸してやろうと思ったのに」
背中を向けたはずなのに、ボブはスイと私の体をすり抜けて正面に立った。
「人の体を通り抜けるのは止めて! エッチ、変態っ!」
「なんて人聞きの悪い」
「人じゃないでしょ」
そこで私はようやくボブの言葉を訊き返した。
「……力を貸すって、何よ」
「ハリーの気を引きたいんだろう? 手伝ってやろうと言っているんだ」
「きっ、きききき、気を引きたいなんて、誰が言った⁉︎」
動揺して言葉が上擦った。
「顔をそんなに赤くしていたら説得力はないぞ」
慌てて頬を押える。
確かに、熱い。
「それだよ。君の反応は本当に可愛い」
いつも無表情のボブが珍しくクスリと笑った。
「マーフィー捜査官に嫉妬しなくてもいいようにしてやろうか」
「嫉妬なんかしてません」
あんな素敵な人と張り合うのは、残念ながらとても無理だ。
私は『妹みたいなモノ』でいい。
ずっとハリーのそばにいられるなら、それで。
「無理しちゃって」
「無理なんかしてません」
ヤレヤレとでも言いたげに、ボブは肩をすくめた。
確かに、マーフィー捜査官みたいに、私もハリーと助け合える関係になりたいとは思う。
悪鬼怨霊と対峙するハリーに私がしてあげられる事といえば、魔法の杖(もっとも彼の場合はドラムスティックとかホッケーのスティックとか、棒なら何でもいい)を調達する事くらいだ。
銃も撃てないし(人ならざるモノに銃が有効かどうかは疑問だけど)、平和な日本で平凡に育ったせいで機転もきかない。
最近では私を守るのが大変だからと、ハリーは現場に同行させてくれなくなった。
寂しかった。
ハリーの助けになりたかった。
ただの居候じゃなくて、妹でもなくて、信頼し合えるパートナーになりたい。
「……どうするの」
ハリーの隣に並びたいという誘惑に駆られ、私はボブを見上げた。
店先の来客用のソファに腰かけ、大きなため息をつく。
今更、文化の違いを認識してしまった。
この国ではキスだのハグだのはただの挨拶だ。
「結局、ドキドキしたのは私だけか……」
「私も結構ドキドキしたよ。我が子の成長を見守る親のような心境だった」
「わっ⁉︎」
ふいに背後から声をかけられて、私は椅子から転げ落ちそうになった。
すぐ真後ろにボブが立っていた。
「急に現れるの、やめてくれない? その死神みたいな顔、心臓に悪い」
「私は死神ではないよ」
「みたい、って言ったでしょ」
ボブは髑髏に宿る亡霊で、ハリーのサポートをしている。
仲良しねって言ったことがあるけど、それはハリーに否定された。
支配隷属関係にあるだけで、髑髏から解放されるためにボブはハリーの本名を探っているらしい。
本名を知れば魔法で主従関係を断ち切り、自由の身になれる。
その前にハリーが死んでしまえば永久に髑髏に閉じ込められてしまうため、仕方なくハリーをサポートしているという訳だ。
「もう、いつもそうやって私を驚かせて。寿命が縮みそう」
「それは申し訳ない。でも君の反応が可愛くてね、止められないんだ」
ボブはいつも私を子ども扱いする。
そりゃあ、ウン百歳の彼からすれば私なんか赤ん坊みたいなものだろうが、私は面白くないのだった。
「用がないなら私の前から消えて。髑髏に帰んなさいよ」
「つれないな。力を貸してやろうと思ったのに」
背中を向けたはずなのに、ボブはスイと私の体をすり抜けて正面に立った。
「人の体を通り抜けるのは止めて! エッチ、変態っ!」
「なんて人聞きの悪い」
「人じゃないでしょ」
そこで私はようやくボブの言葉を訊き返した。
「……力を貸すって、何よ」
「ハリーの気を引きたいんだろう? 手伝ってやろうと言っているんだ」
「きっ、きききき、気を引きたいなんて、誰が言った⁉︎」
動揺して言葉が上擦った。
「顔をそんなに赤くしていたら説得力はないぞ」
慌てて頬を押える。
確かに、熱い。
「それだよ。君の反応は本当に可愛い」
いつも無表情のボブが珍しくクスリと笑った。
「マーフィー捜査官に嫉妬しなくてもいいようにしてやろうか」
「嫉妬なんかしてません」
あんな素敵な人と張り合うのは、残念ながらとても無理だ。
私は『妹みたいなモノ』でいい。
ずっとハリーのそばにいられるなら、それで。
「無理しちゃって」
「無理なんかしてません」
ヤレヤレとでも言いたげに、ボブは肩をすくめた。
確かに、マーフィー捜査官みたいに、私もハリーと助け合える関係になりたいとは思う。
悪鬼怨霊と対峙するハリーに私がしてあげられる事といえば、魔法の杖(もっとも彼の場合はドラムスティックとかホッケーのスティックとか、棒なら何でもいい)を調達する事くらいだ。
銃も撃てないし(人ならざるモノに銃が有効かどうかは疑問だけど)、平和な日本で平凡に育ったせいで機転もきかない。
最近では私を守るのが大変だからと、ハリーは現場に同行させてくれなくなった。
寂しかった。
ハリーの助けになりたかった。
ただの居候じゃなくて、妹でもなくて、信頼し合えるパートナーになりたい。
「……どうするの」
ハリーの隣に並びたいという誘惑に駆られ、私はボブを見上げた。