第15話
「そういえばルパン、不二子さんは?」
綾が訊ねた。
「え? 俺より先に出てきたはずなんだけどな」
ルパンは首をかしげ、キョロキョロと辺りを見回した。
ジョン・ドーとはあっけなく決着がついた。
所詮は変装師、変装は得意でも戦闘向きではなく、劣勢とみるやすぐに研究所の中心部へ逃げていった。
カルロスに助けを求めるつもりだったのだろうが、結局自分から爆発に巻き込まれにいったようなものだ。
不二子はジョン・ドーが逃げた後、すぐにエレベーターで脱出したはずだった。
「あ、いたいた。不二子ちゃーん」
ルパンが手を振った。
ちょうど不二子がプレハブの陰から出てきて、こちらへ歩いてくるところだった。
「不二子、さん……?」
綾は首をかしげた。
こちらをじっと見つめる不二子の顔には、表情がなかった。
「ジョン・ドー……?」
「まさか。ウソだろ、おいっ……」
ルパンも気づいて声を上げる。
「あの爆発で生きてるわけがない! バケモノかよ、あいつ!」
ハイヒールの足はまっすぐ3人の方へやってくると、ルパンの目の前で止まった。
身構えるルパン。
不二子の形のいい唇がゆっくりと開く。
「なーんちゃって!」
不二子がニッコリと笑みを浮かべた。
「うふふ、驚いた?」
「冗談きついぜ……」
ルパンはヘナヘナとその場に崩れ落ちた。
不二子は笑ってルパンの肩をポンと叩いてから、綾の膝に横たわっている次元を見た。
「あらヤダ。死んだの?」
ケロッとして言う不二子に、次元は思わずツッコミを入れる。
「……勝手に殺すな」
「綾の膝が気持ちいいからって、死にそうなフリしてるんでしょ」
「おめぇの目ン玉は節穴か。体に穴開いてんだぞ」
「風通し良くて結構じゃない」
不二子は綾のとなりにしゃがみ込んだ。
意地悪そうな笑みを浮かべて次元に言う。
「とにかく生きててよかったわ。約束、守ってもらうわよ」
「約束って?」
キョトンとする綾。
「あぁ、それね」
ルパンが笑って口をはさんだ。
「綾ちゃんの一大告白でもう終わっちゃったよ」
「えーっ!」
不二子が不満の声をもらした。
次元の胸ぐらをつかんで揺さぶろうとする。
「そんなの、私が聞いてないんだから無効よ! ホラ、さっさと立って愛を囁きなさいよ!」
綾が慌てて制止する。
「ちょっと、不二子さん! そんな無茶苦茶な……!」
「許さないわよ次元! 裏切るつもり?」
「裏切りはちょいとしたアクセサリーだ」
目を瞑ったままニヤリと笑って次元が言う。
「あんたが言うな!」
「2人とも、もうそのへんで……」
綾が仲裁に苦労していると、大きなトラックが砂埃を巻き上げながら猛スピードで突っ込んできた。
タイヤを軋ませてドリフトし、ルパンたちの前で止まる。
驚いていると、運転席から五エ門がヒラリと飛び下りた。
「待たせたな」
「五エ門! 手回しいいじゃねーの!」
ルパンは手放しで喜び、荷台に次元を運び込んだ。
綾を抱き上げ、彼女も荷台へ乗せる。
「そこまでよ! 全員動かないで!」
突然どこからか鋭い声が飛び、ルパンたちは動きを止めた。
綾が訊ねた。
「え? 俺より先に出てきたはずなんだけどな」
ルパンは首をかしげ、キョロキョロと辺りを見回した。
ジョン・ドーとはあっけなく決着がついた。
所詮は変装師、変装は得意でも戦闘向きではなく、劣勢とみるやすぐに研究所の中心部へ逃げていった。
カルロスに助けを求めるつもりだったのだろうが、結局自分から爆発に巻き込まれにいったようなものだ。
不二子はジョン・ドーが逃げた後、すぐにエレベーターで脱出したはずだった。
「あ、いたいた。不二子ちゃーん」
ルパンが手を振った。
ちょうど不二子がプレハブの陰から出てきて、こちらへ歩いてくるところだった。
「不二子、さん……?」
綾は首をかしげた。
こちらをじっと見つめる不二子の顔には、表情がなかった。
「ジョン・ドー……?」
「まさか。ウソだろ、おいっ……」
ルパンも気づいて声を上げる。
「あの爆発で生きてるわけがない! バケモノかよ、あいつ!」
ハイヒールの足はまっすぐ3人の方へやってくると、ルパンの目の前で止まった。
身構えるルパン。
不二子の形のいい唇がゆっくりと開く。
「なーんちゃって!」
不二子がニッコリと笑みを浮かべた。
「うふふ、驚いた?」
「冗談きついぜ……」
ルパンはヘナヘナとその場に崩れ落ちた。
不二子は笑ってルパンの肩をポンと叩いてから、綾の膝に横たわっている次元を見た。
「あらヤダ。死んだの?」
ケロッとして言う不二子に、次元は思わずツッコミを入れる。
「……勝手に殺すな」
「綾の膝が気持ちいいからって、死にそうなフリしてるんでしょ」
「おめぇの目ン玉は節穴か。体に穴開いてんだぞ」
「風通し良くて結構じゃない」
不二子は綾のとなりにしゃがみ込んだ。
意地悪そうな笑みを浮かべて次元に言う。
「とにかく生きててよかったわ。約束、守ってもらうわよ」
「約束って?」
キョトンとする綾。
「あぁ、それね」
ルパンが笑って口をはさんだ。
「綾ちゃんの一大告白でもう終わっちゃったよ」
「えーっ!」
不二子が不満の声をもらした。
次元の胸ぐらをつかんで揺さぶろうとする。
「そんなの、私が聞いてないんだから無効よ! ホラ、さっさと立って愛を囁きなさいよ!」
綾が慌てて制止する。
「ちょっと、不二子さん! そんな無茶苦茶な……!」
「許さないわよ次元! 裏切るつもり?」
「裏切りはちょいとしたアクセサリーだ」
目を瞑ったままニヤリと笑って次元が言う。
「あんたが言うな!」
「2人とも、もうそのへんで……」
綾が仲裁に苦労していると、大きなトラックが砂埃を巻き上げながら猛スピードで突っ込んできた。
タイヤを軋ませてドリフトし、ルパンたちの前で止まる。
驚いていると、運転席から五エ門がヒラリと飛び下りた。
「待たせたな」
「五エ門! 手回しいいじゃねーの!」
ルパンは手放しで喜び、荷台に次元を運び込んだ。
綾を抱き上げ、彼女も荷台へ乗せる。
「そこまでよ! 全員動かないで!」
突然どこからか鋭い声が飛び、ルパンたちは動きを止めた。