第15話

搬入用のエレベーターシャフトは天井が低い。
五エ門は床に座り込んだ綾の膝に次元を預けた。
綾は今にも泣き出しそうな顔で次元を見つめている。
あの怪我で死ぬはずがないと五エ門は分かっていたし、彼女にもそう言った。
だが彼女はこの手の怪我に慣れていないから安心できないらしく、ずっと泣きそうな顔をしていた。
「地上へ出たらとりあえず車を調達しよう」
五エ門の言葉に綾は顔を上げた。
「ルパンと不二子さんはどうするの?」
「怪我を負っている次元が最優先だ。爆弾の爆発まではまだ30分はあるし、ルパンなら放っておいても大丈夫だろう」
「五エ門、運転できるの……?」
「任せておけ」
できるかと訊かれれば運転はできるので五エ門は首肯した。
免許は持っていないが、それはこの際黙っておく。
とにかく綾を安心させたかったのだ。
エレベーターが止まると、五エ門は再び次元を担いで外へと脱出した。
プレハブから離れた場所にひとまず横たえる。
「車を調達してくる故、綾はここにいてくれ」
「うん」
五エ門が姿を消すと、綾は次元を見つめた。
彼の額に浮かんでいる汗をそっと拭ってやる。
ふいに地面から、ドンッという地響きのような振動を感じた。
砂埃が舞う。
エネルギーシステムに取り付けた爆弾が爆発したのだ。
五エ門によれば、爆発まではまだ時間があったはず。
綾は不安にかられた。
「ルパン……不二子さんっ……」
爆風の名残が吹いてきて次元の帽子を巻き上げた。
「あっ……」
目で追っていると、ルパンの長い手がひょいと帽子を掴んだ。
「ルパン!」
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