第14話

「次元! 次元!」
綾は転げるようにして次元に駆け寄った。
動かない彼の体を必死で抱き起こす。
恐る恐るジャケットを捲ると、シャツの胸にどす黒いシミが広がっていた。
「あぁ……」
綾は震える手を彼に差し伸べた。
どうしよう。
どうしよう。
頭が真っ白になって、何をしたらいいのかもわからない。
綾の手は、ただ彼の上を右往左往する。
どうして大人しく待っていなかったんだろう。
どうして彼の言うことを聞けなかったんだろう。
どうして……どうして……。
綾の目から涙がこぼれ落ちた。
「次元……!」
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