第14話
その頃。
ルパンは水エネルギーシステムに直結しているコンピューターからシステムのデータをハッキングしていた。
「うはー、こいつはすげーや」
感嘆の声をあげて口笛を吹く。
「ヘリオスの開発したのとほぼ同じ。違うのは出来たエネルギーでエネルギー弾を発射する恐ろしい兵器だって所だ。その威力たるや、アメリカが一瞬で消滅する」
「そんな物を作ってどうするんだ。戦争でもおっぱじめようってのか」
「さぁな」
ルパンは顔を上げて目の前の水槽を見つめた。
彼の視線を追って次元もエネルギー装置を見上げる。
『資源を費やさずにエネルギーを作り出す事ができたら、ただ食いつぶすだけだった世の中を変えられる』
かつて、夢を語っていたミコは本当に幸せそうだった。
『この子たちにも資源は残してあげたいもの』
幼い綾を抱き上げて、そう言っていた。
いつかその夢を実現させ世界を豊かにする、そんな明るい未来を描いていたんだろう。
「平和利用目的だろうが何だろうが、こんな物は作っちゃいけなかったんだ。過ぎた物は敵を作る」
次元は拳を握った。
「シニカルだねぇ」
ルパンはキーボードを叩いてデータになにがしかの細工を施しながら笑った。
「にひひ、でもそれ、俺にも当てはまっちゃうなぁ。天才的泥棒さんには敵が多いし」
「言ってろ」
舌打ちをして、次元はエネルギーシステムの水槽近くに屈みこんだ。
効率よく破壊できるように設置場所を決め、粘土状の爆薬に起爆装置を差し込み、水槽に張り付ける。
同じようにエネルギーシステム本体にも何ヶ所か設置して、次元は立ち上がった。
「こっちは終わったぞ、ルパン。後はメインコンピューターに……」
「おい!」
入口付近に立って見張りをしていた五エ門が声をあげた。
彼が白鞘の柄に手をかけるのを見てにわかに緊張が走る。
バタンと大きく扉が開き、次元は腰の銃に手を伸ばした。
綾が飛び込んできた。
内側から五エ門が扉を引いたため、彼女はつんのめって床に転がった。
「綾!」
ルパンたちはほぼ同時に叫んだ。
次元の声を聞き分けた綾はパッと顔を上げ、まっすぐに次元を見た。
「次元っ!」
綾は夢中で駆け寄ると、ぶつかるようにその胸にしがみついた。
次元は腕を広げてしっかりと彼女を抱きとめる。
伝わってくるぬくもりに安堵して、綾は涙をこぼした。
「次元……!」
「よく頑張ったな、綾。泣かなくていい」
聞きたかった声。
「もう大丈夫だ。俺はもうずっとお前のそばにいる」
聞きたかった言葉。
綾は次元の胸に顔をうずめたまま、何度も小さくうなずいた。
ルパンは水エネルギーシステムに直結しているコンピューターからシステムのデータをハッキングしていた。
「うはー、こいつはすげーや」
感嘆の声をあげて口笛を吹く。
「ヘリオスの開発したのとほぼ同じ。違うのは出来たエネルギーでエネルギー弾を発射する恐ろしい兵器だって所だ。その威力たるや、アメリカが一瞬で消滅する」
「そんな物を作ってどうするんだ。戦争でもおっぱじめようってのか」
「さぁな」
ルパンは顔を上げて目の前の水槽を見つめた。
彼の視線を追って次元もエネルギー装置を見上げる。
『資源を費やさずにエネルギーを作り出す事ができたら、ただ食いつぶすだけだった世の中を変えられる』
かつて、夢を語っていたミコは本当に幸せそうだった。
『この子たちにも資源は残してあげたいもの』
幼い綾を抱き上げて、そう言っていた。
いつかその夢を実現させ世界を豊かにする、そんな明るい未来を描いていたんだろう。
「平和利用目的だろうが何だろうが、こんな物は作っちゃいけなかったんだ。過ぎた物は敵を作る」
次元は拳を握った。
「シニカルだねぇ」
ルパンはキーボードを叩いてデータになにがしかの細工を施しながら笑った。
「にひひ、でもそれ、俺にも当てはまっちゃうなぁ。天才的泥棒さんには敵が多いし」
「言ってろ」
舌打ちをして、次元はエネルギーシステムの水槽近くに屈みこんだ。
効率よく破壊できるように設置場所を決め、粘土状の爆薬に起爆装置を差し込み、水槽に張り付ける。
同じようにエネルギーシステム本体にも何ヶ所か設置して、次元は立ち上がった。
「こっちは終わったぞ、ルパン。後はメインコンピューターに……」
「おい!」
入口付近に立って見張りをしていた五エ門が声をあげた。
彼が白鞘の柄に手をかけるのを見てにわかに緊張が走る。
バタンと大きく扉が開き、次元は腰の銃に手を伸ばした。
綾が飛び込んできた。
内側から五エ門が扉を引いたため、彼女はつんのめって床に転がった。
「綾!」
ルパンたちはほぼ同時に叫んだ。
次元の声を聞き分けた綾はパッと顔を上げ、まっすぐに次元を見た。
「次元っ!」
綾は夢中で駆け寄ると、ぶつかるようにその胸にしがみついた。
次元は腕を広げてしっかりと彼女を抱きとめる。
伝わってくるぬくもりに安堵して、綾は涙をこぼした。
「次元……!」
「よく頑張ったな、綾。泣かなくていい」
聞きたかった声。
「もう大丈夫だ。俺はもうずっとお前のそばにいる」
聞きたかった言葉。
綾は次元の胸に顔をうずめたまま、何度も小さくうなずいた。