第11話
カルロスは電話で部下の報告を聞き終わると、満足げに振り返った。
「下水の詰まりは掃除しといたぜ。これでずいぶん、やり易くなった筈だ」
「殺したのか?」
「いや。あれ位で死ぬような奴等じゃねぇだろう。だが時間はかせげる」
カルロスは手元の報告書を付き出した。
それはこの界隈の地図で、一か所に大きな円が書かれていた。
「一瞬だけ発信された峰不二子の電話は、この基地局で拾われている。おそらく『エンジェル』はこの界隈に潜んでいるはずだ。今俺の部下たちがしらみつぶしにあたっている」
「まさか、こんな近くに……灯台下暗しだ」
「そうでもない。想定内だ。あの短い時間では、次元大介も彼女を遠くへ逃がすことはできなかったろうからな」
ふいにカーテンがゆらぎ、部屋の隅に音もなく何者かが現れた。
部屋の明かりは薄暗く、室内の中央だけを照らし、隅に立つその人物の容姿は闇にまぎれて確認できない。
「来たか」
カルロスがニヤリと笑った。
「あとはコイツがうまくやってくれるだろう……頼んだぞ」
その人物はカルロスから地図を受け取ると、来た時と同じように音もなく消えた。
後にはカーテンだけが揺れている。
「刑事局はどうする?」
「勝手にやらせておけ、何も見つかりはしない。そのうち迷宮入りだ」
「ICPOが乗り出してきたそうじゃないか。大丈夫なのか?」
「あれは銭形といって、ルパン専任捜査官らしい。あんまりしつこかったら、適当にルパンの情報を流してやれば良いだろう。下水に流した、ってな」
カルロスは声をあげて笑った。
「下水の詰まりは掃除しといたぜ。これでずいぶん、やり易くなった筈だ」
「殺したのか?」
「いや。あれ位で死ぬような奴等じゃねぇだろう。だが時間はかせげる」
カルロスは手元の報告書を付き出した。
それはこの界隈の地図で、一か所に大きな円が書かれていた。
「一瞬だけ発信された峰不二子の電話は、この基地局で拾われている。おそらく『エンジェル』はこの界隈に潜んでいるはずだ。今俺の部下たちがしらみつぶしにあたっている」
「まさか、こんな近くに……灯台下暗しだ」
「そうでもない。想定内だ。あの短い時間では、次元大介も彼女を遠くへ逃がすことはできなかったろうからな」
ふいにカーテンがゆらぎ、部屋の隅に音もなく何者かが現れた。
部屋の明かりは薄暗く、室内の中央だけを照らし、隅に立つその人物の容姿は闇にまぎれて確認できない。
「来たか」
カルロスがニヤリと笑った。
「あとはコイツがうまくやってくれるだろう……頼んだぞ」
その人物はカルロスから地図を受け取ると、来た時と同じように音もなく消えた。
後にはカーテンだけが揺れている。
「刑事局はどうする?」
「勝手にやらせておけ、何も見つかりはしない。そのうち迷宮入りだ」
「ICPOが乗り出してきたそうじゃないか。大丈夫なのか?」
「あれは銭形といって、ルパン専任捜査官らしい。あんまりしつこかったら、適当にルパンの情報を流してやれば良いだろう。下水に流した、ってな」
カルロスは声をあげて笑った。