第2話

「ヴァルナエネルギー社について、ちょいと調べてきた。いやぁ、大変だったぜ? 何しろヴァルナ自体があんな潰れ方してるから、知ってる奴が少ない上に、話したがらない」
帰ってくるなりソファにどっかりと腰を下ろしたルパンはため息をついた。
次元は銃のメンテナンス中で、シリンダーを矯めつ眇めつしていた。
「……だろうな」
「何か知ってっか、次元?」
「電気に代わるエネルギーを水から作る研究をしてたってくらいだな」
ルパンは、コリンズから聞いた話を次元に聞かせた。
「綾ちゃんの父親がいなくなったのは、研究所の爆発事件と関係があるとしよう。さぁて、何が目的だ?」
「その1、研究成果。その2、口封じ」
「まずその2。ヘリオスが消さなきゃならない程の男なのか? 綾ちゃんの父親は」
「ミコの方が優秀だった。父親はNo.2だ」
「その1。父親が狙われたのが研究を奪う為だとすりゃ、父親がいない今、最後の望みは娘の記憶。どちらにしろ気を付けた方が良いな」
「綾は子供だったんだ、研究の事は何も知らないぜ」
「敵さんがそんな事を考慮すると思うか? 凡人じゃないんだぜ、彼女。優秀な学者2人の血をひいた天才だ」
ルパンはリビングを見回した。
綾の姿が見あたらない。
「綾ちゃんはどうした?」
「そういや……いないみたいだな」
「まーた銃に夢中になってたね、次元ちゃん……」
ルパンは呆れ顔で次元を見た。
「綾なら、さっき不二子が来て連れ出していったぞ」
リビングで座禅を組んでいた五エ門が薄目を開けて言った。
「聞いてたのか?」
「無念夢想の境地には程遠いよ、五右エ門ちゃん……」
二人に指摘され、五エ門は黙って俯いた。
「ルパン、携帯貸せ」
次元はアドレスに綾の携帯番号を見つけ、
(いつの間に……)
と思いつつ、通話ボタンを押した。
5回目のコールで綾が出た。
「あれ、次元? どうしたの?」
弾んだ声。
「ずいぶん楽しそうだな。不二子と一緒か?」
「うん。すっごく楽しいよ、不二子さんとショッピング!」
「今どこにいる?」
「え、今? えーっと……」
綾が答えようとしたところで通話が切れた。
次元が舌打ちをする。
「不二子の奴、切りやがったな……」
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