第8話
「ったく、出やしねぇ」
何度目かの留守番サービスの音声に、次元は舌打ちをして電話を切った。
「綾ちゃんか? 不二子の携帯はどうよ?」
ソファからルパンが声をかけた。
「同じだ。かからねぇ」
次元はイライラしてリビングを行ったり来たりしている。
ルパンは時計を見た。
次元が不二子に注意を促してからすでに6、7時間が経っている。
「遅かりし由良之助……か?」
「だな。だが、どこにいるのか分からねぇと助けようにも……」
リビングの電話が鳴った。
その電話は非常用で、携帯がなくても、何かあった時はこの番号に連絡できるようにしてある。
次元が緊張した顔でルパンを見た。
ルパンはゆっくりと受話器を耳にあてる。
「もしもし」
受話器からは楽しげな音楽と話し声が聞こえる。
「……」
相手は無言だった。
泣くのをこらえるような、息をのむ音だけが聞こえた。
「……綾ちゃん、か?」
すると受話器から嗚咽が聞こえた。
堪えきれずに泣き出してしまったようだ。
「貸せ!」
次元が受話器をひったくった。
「綾、今どこだ? どこにいる?」
「じげ……」
綾がしゃくりあげながら居場所を告げた。
「キャットクラブって店だな? 20分、いや10分で行く。大丈夫か?」
「うん……お店のお姉さま方が、よくしてくれて……」
「分かった」
次元は電話を切ると、ルパンに説明もせずアジトを飛び出していった。
「ありゃぁ10分どころか、5分で到着しそうだな……」
ルパンは本棚に歩み寄ると地図を引っ張り出してテーブルに広げた。
さっきまでとは違う、真剣な顔つきで地図を眺め、ペンで印をつけていく。
ルパンの作業は次元達が戻ってくるまで続いた。
何度目かの留守番サービスの音声に、次元は舌打ちをして電話を切った。
「綾ちゃんか? 不二子の携帯はどうよ?」
ソファからルパンが声をかけた。
「同じだ。かからねぇ」
次元はイライラしてリビングを行ったり来たりしている。
ルパンは時計を見た。
次元が不二子に注意を促してからすでに6、7時間が経っている。
「遅かりし由良之助……か?」
「だな。だが、どこにいるのか分からねぇと助けようにも……」
リビングの電話が鳴った。
その電話は非常用で、携帯がなくても、何かあった時はこの番号に連絡できるようにしてある。
次元が緊張した顔でルパンを見た。
ルパンはゆっくりと受話器を耳にあてる。
「もしもし」
受話器からは楽しげな音楽と話し声が聞こえる。
「……」
相手は無言だった。
泣くのをこらえるような、息をのむ音だけが聞こえた。
「……綾ちゃん、か?」
すると受話器から嗚咽が聞こえた。
堪えきれずに泣き出してしまったようだ。
「貸せ!」
次元が受話器をひったくった。
「綾、今どこだ? どこにいる?」
「じげ……」
綾がしゃくりあげながら居場所を告げた。
「キャットクラブって店だな? 20分、いや10分で行く。大丈夫か?」
「うん……お店のお姉さま方が、よくしてくれて……」
「分かった」
次元は電話を切ると、ルパンに説明もせずアジトを飛び出していった。
「ありゃぁ10分どころか、5分で到着しそうだな……」
ルパンは本棚に歩み寄ると地図を引っ張り出してテーブルに広げた。
さっきまでとは違う、真剣な顔つきで地図を眺め、ペンで印をつけていく。
ルパンの作業は次元達が戻ってくるまで続いた。