クリスマス

オモチャ屋の店主はうさんくさそうな顔をしていたが、俺がプレゼントを買いに来たと告げるとコロッと態度を変えた。

俺がレジの金を狙ってるとでも思ってたんだろうか。

「何を差し上げましょう?」

店主の問いに、俺は言葉に詰まった。

「プレゼントだ。えーと、小さい子で……女の子だ。女の子で……」

何と言ったらいいかわからない。

俺は店の棚に並んだオモチャを見回した。

すると、ひときわ目立つ大きな物が目に入った。

俺はついうっかり、そいつが綾と手をつないでいるところを想像してしまった。

「ぶっ……くくっ……」

吹き出してしまった俺を、店主が不審な顔をして睨んでいる。

俺は慌てて笑いを引っ込めると、棚の最上段に置かれたそいつを指さした。

「アレをもらおう」
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