第5話

「綾ちゃ~ん?」
リビングに綾の姿はなかった。
部屋の角に、座禅を組んだ五エ門がいるだけだ。
「五エ門、おい、五エ門!」
「……何だ」
「綾ちゃん、知らない?」
先日の事を思い出したのか、やや赤くなりながら五エ門は言った。
「無心になっていた。拙者は知らぬ……」
「えーっ。ヘリオスに狙われるかも知れないってぇのに……」
ルパンが落胆すると、五エ門は小さい声で言った。
「……昼前に不二子が連れ出した」
「知ってんじゃねーか」
「まだまだ修行が足りなくて助かったよ五エ門ちゃん」
次元にもルパンにも突っ込まれ、五エ門は更に赤くなって俯いた。
「ルパン、携帯」
「わかってるって」
ルパンはGPSで綾の携帯を探した。
「……キッチンだ」
次元がキッチンを覗き込んだ。
作業台に綾の携帯が乗っていた。
『Sorry』
不二子の書き置き。
「よく言うぜ、その気もないくせに」
次元は携帯を取り上げ、懐に仕舞った。



つづく
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