第5話

アジトに戻ったルパンと次元は、玄関で不二子に出迎えられた。
「ねぇ……水エネルギーシステムの周波数、知ってるんでしょ? 私にも教えて」
ポカンとするルパン。
「周波数……?」
「んもぅ、しらばっくれないで」
ルパンは次元を振り返った。次元は肩をすくめてみせる。
「不二子ちゃん? システムの仕組みをどこで知ったのかなぁ?」
「あら、言わなかったかしら? ヘリオス社よ。ヘリオスの社長ったら凄いのよ、独自に水エネルギーシステムを設計しちゃったの。ま、私が設計のヒントをあげたんだけど」
「どうせ綾から聞き出した話をリークしたんだろ」
「だってぇ。彼、お金くれるって言うから。おまけにハンサムだし」
「顔が良けりゃいーのかよ」
「あら、怒ったのルパン?」
不二子はルパンにすり寄って、上目使いに彼を見上げた。
「ウフフ、もしかして焼きもち……?」
「うるせぇやい」
「そんな事言わないで」
不二子はルパンにしなだれかかり、彼のネクタイをもてあそびながら囁いた。
「水を共鳴させる周波数を教えてくれれば、大金が手に入るわ。そうしたら、2人でどこかへ行きましょうよ」
「2人でねぇ……」
と頬を弛ませたルパンだったが、急に真顔に戻る。
「でも残念ながら、分かんないんだ」
「え?」
「知らないんだよねぇ、残念ながら」
不二子は知ってて隠していると思ったようで、頬をふくらませてそっぽを向いた。
スマートフォンでどこかへメールを送っている。
それが済むと、不二子は身を翻して玄関のドアに向かった。
「じゃ、綾ちゃんに聞くから良いわ。バァイ、ルパン!」
「あっ、おい、不二子!」
バタン!
ルパンの鼻先でドアが閉められた。
「あーゆー女だ、アイツは」
次元が呟き、ルパンはガックリとうなだれた。
2/3ページ
スキ