肉と魚と謎の調味料
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「ホームズさん……」
「何だ。今は忙しいんだが」
ホームズさんは私の方を見向きもせずに試験管を揺すっている。
彼の前では何やら茶色い液体がフラスコから管を通ってビーカーに注がれ、アルコールランプで熱せられてポコポコと音を立てている。
「すみません。でもあの、お料理はしないんですか?」
日もかなり傾いて、部屋は薄暗くなっていた。
大急ぎで支度をしないと、夕食に間に合わなくなってしまう。
「そう急かさないでくれ。大急ぎでやっている」
私は耳を疑った。
「今、なんとおっしゃいました?」
ホームズさんはアルコールランプの火を消し、試験管の中身を慎重にビーカーに注いだ。
そしてスポイトでスライドガラスに垂らすと顕微鏡を覗く。
「よし、完成だ!」
ホームズさんはようやく私の方を振り向いた。
満面の笑みを浮かべている。
目がキラキラしていた。
満足のいく結果が得られたらしい。
「魚と肉が焼けている頃だから、取ってくる。君は座っていたまえ」
「え、でも」
「いいから」
ホームズさんは有無を言わさず、椅子をひいて私に座るよう促した。
そして自分は鼻歌交じりにキッチンへと降りていく。
下処理済の白身魚と肉を野菜と一緒にオーブンに突っ込んだのは見ていたが、ホームズさんがやったのはそれだけだった。
「味つけまでは考えていないんだろうな、きっと……」
そんなことを考えているうちに、ホームズさんが戻ってきた。
大きなトレーに料理のお皿とバケットの籠を乗せ、脇にワインボトルを抱えている。
「わぁ、美味しそう!」
お皿の上にそれぞれ綺麗に盛り付けられた魚と肉。
こんがりと焼き目もついて、ハドソンさんが焼くのと遜色ない出来栄えだ。
「ホームズさんすごい! 美味しそうです!」
「さもありなん」
ホームズさんは得意げに肩をそびやかした。
「さて、ソースだが」
ホームズさんは一旦テーブルを離れ、すぐに戻ってきた。
ホームズさんがビーカーを手にしているのを見た私は目を丸くする。
「それはまさか、さっきの実験の……」
「大丈夫、害はない」
「『害は』って……あっ」
躊躇う私を無視して、ホームズさんはビーカーの中身を料理にかけてしまった。
「さぁ、召し上がれ」
「い……いただきます……」
恐る恐る私は料理を口に運んだ。
「あ、美味しい」
お肉もお魚もちょうど良い焼き具合で、意外なことにソースも絶品だった。
「美味しいです、ホームズさん!」
「それは良かった」
ホームズさんは嬉しそうに笑った。
家事一切はハドソンさん任せのホームズさんが料理もできるなんて意外だった。
ワトソンさんの作ったリストに『料理男子』も加えてもらわなければ。
「何だ。今は忙しいんだが」
ホームズさんは私の方を見向きもせずに試験管を揺すっている。
彼の前では何やら茶色い液体がフラスコから管を通ってビーカーに注がれ、アルコールランプで熱せられてポコポコと音を立てている。
「すみません。でもあの、お料理はしないんですか?」
日もかなり傾いて、部屋は薄暗くなっていた。
大急ぎで支度をしないと、夕食に間に合わなくなってしまう。
「そう急かさないでくれ。大急ぎでやっている」
私は耳を疑った。
「今、なんとおっしゃいました?」
ホームズさんはアルコールランプの火を消し、試験管の中身を慎重にビーカーに注いだ。
そしてスポイトでスライドガラスに垂らすと顕微鏡を覗く。
「よし、完成だ!」
ホームズさんはようやく私の方を振り向いた。
満面の笑みを浮かべている。
目がキラキラしていた。
満足のいく結果が得られたらしい。
「魚と肉が焼けている頃だから、取ってくる。君は座っていたまえ」
「え、でも」
「いいから」
ホームズさんは有無を言わさず、椅子をひいて私に座るよう促した。
そして自分は鼻歌交じりにキッチンへと降りていく。
下処理済の白身魚と肉を野菜と一緒にオーブンに突っ込んだのは見ていたが、ホームズさんがやったのはそれだけだった。
「味つけまでは考えていないんだろうな、きっと……」
そんなことを考えているうちに、ホームズさんが戻ってきた。
大きなトレーに料理のお皿とバケットの籠を乗せ、脇にワインボトルを抱えている。
「わぁ、美味しそう!」
お皿の上にそれぞれ綺麗に盛り付けられた魚と肉。
こんがりと焼き目もついて、ハドソンさんが焼くのと遜色ない出来栄えだ。
「ホームズさんすごい! 美味しそうです!」
「さもありなん」
ホームズさんは得意げに肩をそびやかした。
「さて、ソースだが」
ホームズさんは一旦テーブルを離れ、すぐに戻ってきた。
ホームズさんがビーカーを手にしているのを見た私は目を丸くする。
「それはまさか、さっきの実験の……」
「大丈夫、害はない」
「『害は』って……あっ」
躊躇う私を無視して、ホームズさんはビーカーの中身を料理にかけてしまった。
「さぁ、召し上がれ」
「い……いただきます……」
恐る恐る私は料理を口に運んだ。
「あ、美味しい」
お肉もお魚もちょうど良い焼き具合で、意外なことにソースも絶品だった。
「美味しいです、ホームズさん!」
「それは良かった」
ホームズさんは嬉しそうに笑った。
家事一切はハドソンさん任せのホームズさんが料理もできるなんて意外だった。
ワトソンさんの作ったリストに『料理男子』も加えてもらわなければ。