手を焼かすな
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大きな体がビクリと硬直する。
しかしそれもつかの間、腰に手が回され、強く抱き寄せられた。
「⁉︎」
今度はこちらが驚く番だった。
銭形は抵抗するどころか、ますますキスを深めてくる。
ちょっと待って……こんなの、想定外だ。
頭が真っ白になっていく。
仕掛けたのはこちらなのに、いつの間にか攻守が逆転していた。
キスは初めてじゃない。
敵を油断させるため、有利な条件を引き出すため、それなりに利用してきた。
それなのに、こんな何も考えられなくなるようなキスは生まれて初めてだった。
流されそうになるのを必死で堪える。
私は全神経を集中させ、銭形を突き飛ばした。
不意を突かれて彼がよろめいているうちに、私は身を翻した。
足にはちょっと自信がある。
どっちの意味でも。
美脚には男を動かす力があると教わってから脚には気を使ってきたし、足の速さでは今まで男にも負けたことは無い。
後ろから銭形の怒号が飛んだ。
無視して走る。
手錠のせいで手が使えない分、足をけん命に動かして走った。
景色が風になって流れていく。
「待てと言っとるだろーが!」
真後ろで聞こえた声に、私は愕然とした。
あっという間に距離を詰められていた。
速い!
肩を掴まれた瞬間、私は走るのを止める。
キュッ、と踵が鳴った。
振り向きざま、銭形の側頭部目がけて右足を振り上げる。
しかし命中する寸前、銭形の手が私の足首を掴んだ。
「あっ……!」
バランスを崩し軸足がふらつく。
銭形は足首を放し、倒れかけた私の体を片手で受け止めた。
そして私を軽々と肩に担ぎ上げる。
「あまり手を焼かすな。でないと、今度はキスじゃ済まんぞ」
おわり
しかしそれもつかの間、腰に手が回され、強く抱き寄せられた。
「⁉︎」
今度はこちらが驚く番だった。
銭形は抵抗するどころか、ますますキスを深めてくる。
ちょっと待って……こんなの、想定外だ。
頭が真っ白になっていく。
仕掛けたのはこちらなのに、いつの間にか攻守が逆転していた。
キスは初めてじゃない。
敵を油断させるため、有利な条件を引き出すため、それなりに利用してきた。
それなのに、こんな何も考えられなくなるようなキスは生まれて初めてだった。
流されそうになるのを必死で堪える。
私は全神経を集中させ、銭形を突き飛ばした。
不意を突かれて彼がよろめいているうちに、私は身を翻した。
足にはちょっと自信がある。
どっちの意味でも。
美脚には男を動かす力があると教わってから脚には気を使ってきたし、足の速さでは今まで男にも負けたことは無い。
後ろから銭形の怒号が飛んだ。
無視して走る。
手錠のせいで手が使えない分、足をけん命に動かして走った。
景色が風になって流れていく。
「待てと言っとるだろーが!」
真後ろで聞こえた声に、私は愕然とした。
あっという間に距離を詰められていた。
速い!
肩を掴まれた瞬間、私は走るのを止める。
キュッ、と踵が鳴った。
振り向きざま、銭形の側頭部目がけて右足を振り上げる。
しかし命中する寸前、銭形の手が私の足首を掴んだ。
「あっ……!」
バランスを崩し軸足がふらつく。
銭形は足首を放し、倒れかけた私の体を片手で受け止めた。
そして私を軽々と肩に担ぎ上げる。
「あまり手を焼かすな。でないと、今度はキスじゃ済まんぞ」
おわり