初耳だな。
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ふと気がつくと、見知らぬ場所に立っていた。
鬱蒼とした森だ。
モノクロ撮影された富士の樹海、そんな風景が360度広がっている。
人工的な明かりはなかったが、辺りはそれなりに見通せた。
ざっと見渡した限り、人の姿はない。
俺は胸騒ぎを覚え、愛銃のグリップを握ろうと手を伸ばした。
ない。
体中を探ってみたが、俺は煙草1本すら持っていなかった。
おかしな事に、なぜ身ひとつでこんな場所にいるのか、まるで覚えがなかった。
軽く舌打ちをする。
どうしたものか……
『とりあえず前に進みましょ?』
ふいに、綾の軽やかな声を思い出した。
あれは確か、2人してドジを踏んで敵に捕まり、砂漠の真ん中に置き去りにされた時だ。
『万事窮す、だな。ルパンが気づいて助けに来るまで生きてりゃいいが……』
俺は砂の上にどっかりと腰を下ろした。
『諦めずに前に進めば、いつかどこかに辿り着くわ』
彼女の声は明るく、この状況に不釣合いなくらいだった。
『行った後悔はすぐ忘れるし、その後の対処の仕方で如何様にでもなる。でも、行かなかった後悔は一生つきまとうから。大丈夫、絶対に抜けられるわ』
活気のあるその声を聞いていると、本当にそんな気がしてくるから不思議だ。
『行きましょう!』
目の前に手が差し出されて、俺は顔を上げた。
思わずハッと息をのむ。
にっこり微笑む彼女を夕日が金色に縁取り、やけに眩しかった。
俺はフッと軽く息を吐くと、森の中をゆっくり歩き出した。
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鬱蒼とした森だ。
モノクロ撮影された富士の樹海、そんな風景が360度広がっている。
人工的な明かりはなかったが、辺りはそれなりに見通せた。
ざっと見渡した限り、人の姿はない。
俺は胸騒ぎを覚え、愛銃のグリップを握ろうと手を伸ばした。
ない。
体中を探ってみたが、俺は煙草1本すら持っていなかった。
おかしな事に、なぜ身ひとつでこんな場所にいるのか、まるで覚えがなかった。
軽く舌打ちをする。
どうしたものか……
『とりあえず前に進みましょ?』
ふいに、綾の軽やかな声を思い出した。
あれは確か、2人してドジを踏んで敵に捕まり、砂漠の真ん中に置き去りにされた時だ。
『万事窮す、だな。ルパンが気づいて助けに来るまで生きてりゃいいが……』
俺は砂の上にどっかりと腰を下ろした。
『諦めずに前に進めば、いつかどこかに辿り着くわ』
彼女の声は明るく、この状況に不釣合いなくらいだった。
『行った後悔はすぐ忘れるし、その後の対処の仕方で如何様にでもなる。でも、行かなかった後悔は一生つきまとうから。大丈夫、絶対に抜けられるわ』
活気のあるその声を聞いていると、本当にそんな気がしてくるから不思議だ。
『行きましょう!』
目の前に手が差し出されて、俺は顔を上げた。
思わずハッと息をのむ。
にっこり微笑む彼女を夕日が金色に縁取り、やけに眩しかった。
俺はフッと軽く息を吐くと、森の中をゆっくり歩き出した。
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