声が聞きたい。
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綾が風邪をひいたらしい。
朝、顔を合わせるなり 『声が出ない』 とジェスチャーで訴えてきた。
「どうした。どうせ大口開けて寝てたんだろう」
ちょっとからかうと、綾はむくれてポカポカ叩いてきた。
子供かよ。
「本当に声が出ないのか? ちょっと何か言ってみろ」
「……じーげーん、」
「わはは、オカマみてぇ」
ポカポカポカポカ。
またゲンコツが降ってくる。
「いててて、悪かった、悪かったって。わはははは」
笑いが止まらない俺に、綾はとうとうそっぽを向いてしまった。
俺はキッチンへ行ってハチミツのお湯割りを作って持ってくる。
「そう拗ねるな。ほら、これでも飲んで早く治せよ」
綾は俺の隣に腰かけ、フーフー冷ましながらお湯割りを啜った。
ひと口飲んだところで俺を見上げ、にっこり笑う。
言葉は無くても、その表情だけで言いたいことは分かった。
「美味いか。そりゃあ良かった」
静かな朝だった。
綾が喋らないだけで俺の世界は沈黙する。
綾が笑う
綾が怒る
綾が歌う
たったそれだけのことで俺の世界は賑やかになるのだと、今更気づいた。
「ねぇ、」
そのひと言がどんなに可愛く発せられるか。
「次元、」
そのひと言がどんなに素晴らしく聞こえるか。
「大好きだよ」
そのひと言がどんなに胸を熱くするか。
彼女がどんなに大切な存在か、今更気づいた。
ツンツンと、袖を引かれて我に返った。
綾が差し出した空のマグカップを慌てて受け取る。
「早く治せよ」
お前の声が聴きたいんだ。
「オカマはお呼びじゃねぇからな」
ポカポカポカと、またげんこつが降ってきた。
おわり
朝、顔を合わせるなり 『声が出ない』 とジェスチャーで訴えてきた。
「どうした。どうせ大口開けて寝てたんだろう」
ちょっとからかうと、綾はむくれてポカポカ叩いてきた。
子供かよ。
「本当に声が出ないのか? ちょっと何か言ってみろ」
「……じーげーん、」
「わはは、オカマみてぇ」
ポカポカポカポカ。
またゲンコツが降ってくる。
「いててて、悪かった、悪かったって。わはははは」
笑いが止まらない俺に、綾はとうとうそっぽを向いてしまった。
俺はキッチンへ行ってハチミツのお湯割りを作って持ってくる。
「そう拗ねるな。ほら、これでも飲んで早く治せよ」
綾は俺の隣に腰かけ、フーフー冷ましながらお湯割りを啜った。
ひと口飲んだところで俺を見上げ、にっこり笑う。
言葉は無くても、その表情だけで言いたいことは分かった。
「美味いか。そりゃあ良かった」
静かな朝だった。
綾が喋らないだけで俺の世界は沈黙する。
綾が笑う
綾が怒る
綾が歌う
たったそれだけのことで俺の世界は賑やかになるのだと、今更気づいた。
「ねぇ、」
そのひと言がどんなに可愛く発せられるか。
「次元、」
そのひと言がどんなに素晴らしく聞こえるか。
「大好きだよ」
そのひと言がどんなに胸を熱くするか。
彼女がどんなに大切な存在か、今更気づいた。
ツンツンと、袖を引かれて我に返った。
綾が差し出した空のマグカップを慌てて受け取る。
「早く治せよ」
お前の声が聴きたいんだ。
「オカマはお呼びじゃねぇからな」
ポカポカポカと、またげんこつが降ってきた。
おわり