ばからしい
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五エ門は当惑していた。
先ほどからずっと、綾の視線が自分に向いているのを感じている。
しかし、なぜ見られているのかが皆目わからない。
まさか、拙者としたことが、昼餉の飯粒でも顔にくっつけているのでは……。
座禅の最中だというのに、五エ門はまったく集中できなくなっていた。
「なにを見ているんだ、綾。五エ門に穴が開くぞ」
通りすがりに次元が足を止め、声をかけた。
「五エ門はどのくらい正座していられるのかな」
『は?』
次元の言葉と、五エ門の心の声が見事にシンクロした。
「きれいに正座しているよね、五エ門。足、痺れないのかなぁって思って……」
そんな事を考えていたのか。
五エ門は笑いそうになるのをかろうじて堪えた。
「何だ。お前、正座もろくにできねぇのか。日本人の癖に」
「バカにしないでよ。そう言う次元はできるワケ?」
「俺は礼儀正しいからな」
「礼儀に失礼だ」
「何だと?」
目を開かずとも、二人がにらみ合っているのが分かる。
なぜあの2人は口を開けばああも憎まれ口ばかりなのか……。
そのクセ、どちらかが留守にすると、おいていかれた方は実に寂しそうにしているのだ。
お互い素直になればいいのに、と五エ門は思った。
「よし、こうしよう」
綾が手を叩いた。
「どちらが長く正座していられるか、勝負しよう。我慢比べだよ」
「我慢の内に入らねぇよ。バカらしくてやってられるか」
「へぇ、逃げるんだ。本当は正座なんかできないんじゃないの?」
「なにっ」
売り言葉に買い言葉で、2人は正座競争を始める事になった。
五エ門の隣に2人並んで正座する。
「すぐ音を上げんじゃねぇぞ、綾。つまらねぇからな」
「さて、音を上げるのはどっちかしらね」
ばからしい、と五エ門は内心呟いた。
先ほどからずっと、綾の視線が自分に向いているのを感じている。
しかし、なぜ見られているのかが皆目わからない。
まさか、拙者としたことが、昼餉の飯粒でも顔にくっつけているのでは……。
座禅の最中だというのに、五エ門はまったく集中できなくなっていた。
「なにを見ているんだ、綾。五エ門に穴が開くぞ」
通りすがりに次元が足を止め、声をかけた。
「五エ門はどのくらい正座していられるのかな」
『は?』
次元の言葉と、五エ門の心の声が見事にシンクロした。
「きれいに正座しているよね、五エ門。足、痺れないのかなぁって思って……」
そんな事を考えていたのか。
五エ門は笑いそうになるのをかろうじて堪えた。
「何だ。お前、正座もろくにできねぇのか。日本人の癖に」
「バカにしないでよ。そう言う次元はできるワケ?」
「俺は礼儀正しいからな」
「礼儀に失礼だ」
「何だと?」
目を開かずとも、二人がにらみ合っているのが分かる。
なぜあの2人は口を開けばああも憎まれ口ばかりなのか……。
そのクセ、どちらかが留守にすると、おいていかれた方は実に寂しそうにしているのだ。
お互い素直になればいいのに、と五エ門は思った。
「よし、こうしよう」
綾が手を叩いた。
「どちらが長く正座していられるか、勝負しよう。我慢比べだよ」
「我慢の内に入らねぇよ。バカらしくてやってられるか」
「へぇ、逃げるんだ。本当は正座なんかできないんじゃないの?」
「なにっ」
売り言葉に買い言葉で、2人は正座競争を始める事になった。
五エ門の隣に2人並んで正座する。
「すぐ音を上げんじゃねぇぞ、綾。つまらねぇからな」
「さて、音を上げるのはどっちかしらね」
ばからしい、と五エ門は内心呟いた。