彼女は常に嘘をつく4
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「うー、さみぃ……」
外はかなり冷え込んでいて、車を降りたルパンは身を震わせた。
「今夜は鍋だな、こりゃ……あれ?」
玄関の前に綾が立っている。
この寒さだというのにコートも羽織っておらず、俯いてじっと地面を見つめている。
「出迎えてくれたのか? 嬉しいねぇ。でも綾、そんなカッコじゃ雪まつりの魚氷みたいにカッチコチになっちまうぜ?」
綾の言葉はない。
「泣いてるのか……?」
ルパンはポケットにしまいかけた車のキーを出し、綾を助手席に乗せた。
「私、赤ん坊の時から養父のリアム・メッサムに育てられたの」
「……だからMビルにいたのか」
ルパンは綾とはじめて会った時の事を思い出した。
とある設計図を盗むためメッサムの城であるMビルへ侵入したのだが、警備に見つかって右往左往しているところに綾と出会ったのだ。
あの時は社員だろうと思っていたが、まさか娘だったとは……。
リアム・メッサムは表向きは立派なビジネスマンだが、ルパン達裏社会の人間にはそうとうな悪人として知られていた。
そんな彼が細君もいないのに子供を育てるのは、やはりそれなりの目的がある。
「物心ついたときには、完璧な工作員になってた。言うとおりにして仕事を成功させれば、リアムは可愛がってくれたから」
幼い頃は愛情が欲しくて、ただ『よくやった』と頭をなでてもらう為に任務を遂行した。
リアムは『私を失望させないでくれ』が口癖だった。
彼の意にそぐわない言動をして消された仲間を大勢見てきた。
成長するにつれ、リアムを失望させたら捨てられるという恐怖感が膨らみ、彼を喜ばせるために何でもやった。
やりたくない仕事でも『やりたい』と言った。
できない事でも『できる』と言った。
心はNOを叫んでいても、『YES』と言い続けた。
「そうして、私は嘘しか言えなくなったの」
綾は目じりに残っていた涙を指で拭って、ため息をついた。
吐く息が白い。
ルパンはエンジンをかけてヒーターのスイッチを入れた。
外はかなり冷え込んでいて、車を降りたルパンは身を震わせた。
「今夜は鍋だな、こりゃ……あれ?」
玄関の前に綾が立っている。
この寒さだというのにコートも羽織っておらず、俯いてじっと地面を見つめている。
「出迎えてくれたのか? 嬉しいねぇ。でも綾、そんなカッコじゃ雪まつりの魚氷みたいにカッチコチになっちまうぜ?」
綾の言葉はない。
「泣いてるのか……?」
ルパンはポケットにしまいかけた車のキーを出し、綾を助手席に乗せた。
「私、赤ん坊の時から養父のリアム・メッサムに育てられたの」
「……だからMビルにいたのか」
ルパンは綾とはじめて会った時の事を思い出した。
とある設計図を盗むためメッサムの城であるMビルへ侵入したのだが、警備に見つかって右往左往しているところに綾と出会ったのだ。
あの時は社員だろうと思っていたが、まさか娘だったとは……。
リアム・メッサムは表向きは立派なビジネスマンだが、ルパン達裏社会の人間にはそうとうな悪人として知られていた。
そんな彼が細君もいないのに子供を育てるのは、やはりそれなりの目的がある。
「物心ついたときには、完璧な工作員になってた。言うとおりにして仕事を成功させれば、リアムは可愛がってくれたから」
幼い頃は愛情が欲しくて、ただ『よくやった』と頭をなでてもらう為に任務を遂行した。
リアムは『私を失望させないでくれ』が口癖だった。
彼の意にそぐわない言動をして消された仲間を大勢見てきた。
成長するにつれ、リアムを失望させたら捨てられるという恐怖感が膨らみ、彼を喜ばせるために何でもやった。
やりたくない仕事でも『やりたい』と言った。
できない事でも『できる』と言った。
心はNOを叫んでいても、『YES』と言い続けた。
「そうして、私は嘘しか言えなくなったの」
綾は目じりに残っていた涙を指で拭って、ため息をついた。
吐く息が白い。
ルパンはエンジンをかけてヒーターのスイッチを入れた。