頼みがある
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そばに置いておきたい。
俺の身勝手な我儘のために、彼女の命を危険に晒してきた。
ずっと、失うのが怖かった。
それでも、手放すことができなかった。
俺は今まで、『離れない』という彼女の言葉に甘えていたのだ。
俺は黙って彼女の腕をひいた。
彼女の髪に手を差し入れて後頭部に添え、深く口づける。
華奢な体、柔らかな髪、甘い唇。
全てが愛おしかった。
彼女は驚いて一瞬目を見開いたが、おとなしくされるがままになっていた。
ゆっくりと体をはなすと、彼女は小さな吐息を漏らした。
俺の顔を見上げ、うんうんと頷く。
笑おうとした口もとが歪み、大きな瞳に涙が浮かんだ。
「さよなら」も「またね」もなく、彼女は背中を向けて歩き始めた。
ヒールの音がゆっくりと遠ざかっていく。
振り返るな。
振り返るな。
心の中でそう繰り返しながら、俺は彼女が見えなくなるまでずっと見つめ続けた。
おわり
俺の身勝手な我儘のために、彼女の命を危険に晒してきた。
ずっと、失うのが怖かった。
それでも、手放すことができなかった。
俺は今まで、『離れない』という彼女の言葉に甘えていたのだ。
俺は黙って彼女の腕をひいた。
彼女の髪に手を差し入れて後頭部に添え、深く口づける。
華奢な体、柔らかな髪、甘い唇。
全てが愛おしかった。
彼女は驚いて一瞬目を見開いたが、おとなしくされるがままになっていた。
ゆっくりと体をはなすと、彼女は小さな吐息を漏らした。
俺の顔を見上げ、うんうんと頷く。
笑おうとした口もとが歪み、大きな瞳に涙が浮かんだ。
「さよなら」も「またね」もなく、彼女は背中を向けて歩き始めた。
ヒールの音がゆっくりと遠ざかっていく。
振り返るな。
振り返るな。
心の中でそう繰り返しながら、俺は彼女が見えなくなるまでずっと見つめ続けた。
おわり