「どこへ行くつもりだ……？」

「港へ向かってるようね」

「なるほど、取引にはぴったりな場所だ」

「ドンパチにもね」

「……それはできれば勘弁だな」

「それはあちらさん次第よ」

綾はなぜかサングラスをかけ、拳銃を取り出した。

それを横目で見た次元は目を見開いた。

「なんでそんなモン持ってんだ！　おめぇはひと昔前の刑事か！」

「質問に答える？　それとも『ヘイ、タカ！』ってノッた方が良いかな」

綾は笑った。

「これはマ〇シン製のモデルガンでございますから、どーぞご安心を。でもカートリッジ式で装填もできるし、シリンダーも滑らかに回るうえ、エジェクターロッドもちゃんと稼働して……」

「あぁ、もういい、このオタクめ！」

次元は銃を取り上げた。

綾は残念そうにがっくりと肩を落とす。

「サングラスだけじゃ、ラッスンゴレライしかできないじゃん」

「笑いで敵の動きを封じるってのはどうだ」

「ぶう」

綾はおいてけぼりをくらった真山薫（浅野温子）ばりにふくれて見せた。