彼女は常に嘘をつく3
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「セミスイートとはね……日本の『オ・モ・テ・ナ・シ』はどこ行ったんだ」
最上階ではなく、ロイヤルスイートでもない部屋に綾はがっかりする。
ルパンは部屋を見回して言った。
「屋上から簡単に降りてこられるから、普通要人は最上階は避けるもんなの」
ルパンと次元はそれぞれドアの両脇に立ち、綾はソファに腰かけた。
数分後、物音がしてドアが開かれる。
絹のようにしなやかに揺れるブロンドに、滑らかな白い肌。
菫色の瞳は少し細められ、気だるげにも見えた。
皇女は部屋へ踏み出す前に入口で振り返り、続いて入ってこようとした付き人を手で制する。
「……お前たちは下がって。必要ならこちらから声をかけます」
「では、失礼します」
皇女が1人で部屋に入ってきた。
こちらとしては好都合。
「こんにちは、皇女様」
ソファから立ち上がって出迎えた綾に、皇女は目を大きく見開いて胸を押さえた。
『どなたです……?』
綺麗な声で訊ねられたが、アラビア語並みに難解なXX国の公用語を綾は知らない。
曖昧な笑みを浮かべたまま返事をしない相手に不安を抱いた皇女は、体を緊張させてじりじりと後ずさりをした。
「おっと」
背後に立っていた次元がその肩を掴んだ。
「何もしやしねぇ。お宝さえ頂ければな」
ビクリとして振り返った皇女は次元の顔をまじまじと見た。
その顔が恐怖にひきつったかと思うと、サァッと血の気がひき、次の瞬間にはフッと力が抜けて体が傾いた。
次元が慌てて抱きとめる。
「おい、しっかりしろ。おーい」
皇女の顔を覗きこみ、頬をピタピタと叩いてみるが反応はない。
「皇女さん、気絶しちまった」
次元は皇女を横抱きに抱き上げ、ベッドに運んだ。
よく見れば幼い顔つきをしている。
綾より年下かもしれない。
「次元がおっそろしい顔で睨むからだよ。ショックで死んじゃったらどーすんの」
綾が呆れたように呟く。
「……オメェも死ぬか?」
次元にひと睨みされた綾はヒタッ、と口をつぐんだ。
「次元の顔はともかく、そうとう気張ってたんだろうな、可哀そうに。ちょっと寝かしといてやろうぜ」
「ともかくって……オメェもそこはかとなく失礼だぞルパン」
「でも、宝石はどうするの?」
次元の言葉を無視して綾が訪ねた。
「俺らは荷物ん中を探す。綾は皇女が持ってないか調べてくれ」
ルパン達は皇女の荷物を片っ端からひっくり返した。
綾はベッドに上がり、皇女の体を探った。
「ムフフフ……失礼しまぁす……わぁ、きれいな肌ですねぇ……」
「変態かお前は!」
すぐさま次元のツッコミが飛んだ。
「持ってないみたい」
「こっちもないぞ」
部屋中くまなく探したルパンは、首をひねった。
「おっかしいなぁ……どっかに隠し持ってる筈なんだけど」
「本人に訊くしかないな」
次元は再度皇女の横たわるベッドに歩み寄った。
「おーい、おーい。皇女さん、起きてくれ」
手で顔を仰いだり頬をピタピタ叩いたりしてみるが、まったく目覚める様子がない。
「参ったな……」
その時、ドアをノックする音が聞こえた。
「オリヴィア様。そろそろご準備をお願いします」
「は、はぁい!」
咄嗟に先ほど聞いた皇女の声色をまねて返事をした綾。
「日本語で返事するバカがいるかよ!」
次元はさすがに焦りを隠せなかった。
「もう引き上げようぜ、ルパン」
「何言ってんの」
綾は皇女の荷物の中からレセプション用らしきドレスを引っ張り出した。
「こんな時の為に私がいるんじゃない」
「えぇっ!」
「昨日たっぷり勉強したし、任せといて!」
ルパンに集めてもらった皇女の映っている映像を一晩中見ていたのだ。
小道具も色々準備はしてきたし、変装するだけなら見破られない自信はある。
「でっきるっかな、でっきるっかな♪」
綾は妙な鼻歌を歌いながらドレスを着てカツラをかぶり、テキパキと皇女に変装した。
いつもながら、見事な変身っぷりだ。
ルパンも次元もため息をつく。
「レセプションの間に俺達は宝石を探す」
「頑張ってこい」
「では、失礼しますわ。ごきげんよう!」
綾はしとやかに膝を折ってお辞儀をすると、腰に手を当て、スキップをしながら部屋を出て行った。
「大丈夫かね、アレ……」
一抹の不安を拭いきれないルパン達だった。
最上階ではなく、ロイヤルスイートでもない部屋に綾はがっかりする。
ルパンは部屋を見回して言った。
「屋上から簡単に降りてこられるから、普通要人は最上階は避けるもんなの」
ルパンと次元はそれぞれドアの両脇に立ち、綾はソファに腰かけた。
数分後、物音がしてドアが開かれる。
絹のようにしなやかに揺れるブロンドに、滑らかな白い肌。
菫色の瞳は少し細められ、気だるげにも見えた。
皇女は部屋へ踏み出す前に入口で振り返り、続いて入ってこようとした付き人を手で制する。
「……お前たちは下がって。必要ならこちらから声をかけます」
「では、失礼します」
皇女が1人で部屋に入ってきた。
こちらとしては好都合。
「こんにちは、皇女様」
ソファから立ち上がって出迎えた綾に、皇女は目を大きく見開いて胸を押さえた。
『どなたです……?』
綺麗な声で訊ねられたが、アラビア語並みに難解なXX国の公用語を綾は知らない。
曖昧な笑みを浮かべたまま返事をしない相手に不安を抱いた皇女は、体を緊張させてじりじりと後ずさりをした。
「おっと」
背後に立っていた次元がその肩を掴んだ。
「何もしやしねぇ。お宝さえ頂ければな」
ビクリとして振り返った皇女は次元の顔をまじまじと見た。
その顔が恐怖にひきつったかと思うと、サァッと血の気がひき、次の瞬間にはフッと力が抜けて体が傾いた。
次元が慌てて抱きとめる。
「おい、しっかりしろ。おーい」
皇女の顔を覗きこみ、頬をピタピタと叩いてみるが反応はない。
「皇女さん、気絶しちまった」
次元は皇女を横抱きに抱き上げ、ベッドに運んだ。
よく見れば幼い顔つきをしている。
綾より年下かもしれない。
「次元がおっそろしい顔で睨むからだよ。ショックで死んじゃったらどーすんの」
綾が呆れたように呟く。
「……オメェも死ぬか?」
次元にひと睨みされた綾はヒタッ、と口をつぐんだ。
「次元の顔はともかく、そうとう気張ってたんだろうな、可哀そうに。ちょっと寝かしといてやろうぜ」
「ともかくって……オメェもそこはかとなく失礼だぞルパン」
「でも、宝石はどうするの?」
次元の言葉を無視して綾が訪ねた。
「俺らは荷物ん中を探す。綾は皇女が持ってないか調べてくれ」
ルパン達は皇女の荷物を片っ端からひっくり返した。
綾はベッドに上がり、皇女の体を探った。
「ムフフフ……失礼しまぁす……わぁ、きれいな肌ですねぇ……」
「変態かお前は!」
すぐさま次元のツッコミが飛んだ。
「持ってないみたい」
「こっちもないぞ」
部屋中くまなく探したルパンは、首をひねった。
「おっかしいなぁ……どっかに隠し持ってる筈なんだけど」
「本人に訊くしかないな」
次元は再度皇女の横たわるベッドに歩み寄った。
「おーい、おーい。皇女さん、起きてくれ」
手で顔を仰いだり頬をピタピタ叩いたりしてみるが、まったく目覚める様子がない。
「参ったな……」
その時、ドアをノックする音が聞こえた。
「オリヴィア様。そろそろご準備をお願いします」
「は、はぁい!」
咄嗟に先ほど聞いた皇女の声色をまねて返事をした綾。
「日本語で返事するバカがいるかよ!」
次元はさすがに焦りを隠せなかった。
「もう引き上げようぜ、ルパン」
「何言ってんの」
綾は皇女の荷物の中からレセプション用らしきドレスを引っ張り出した。
「こんな時の為に私がいるんじゃない」
「えぇっ!」
「昨日たっぷり勉強したし、任せといて!」
ルパンに集めてもらった皇女の映っている映像を一晩中見ていたのだ。
小道具も色々準備はしてきたし、変装するだけなら見破られない自信はある。
「でっきるっかな、でっきるっかな♪」
綾は妙な鼻歌を歌いながらドレスを着てカツラをかぶり、テキパキと皇女に変装した。
いつもながら、見事な変身っぷりだ。
ルパンも次元もため息をつく。
「レセプションの間に俺達は宝石を探す」
「頑張ってこい」
「では、失礼しますわ。ごきげんよう!」
綾はしとやかに膝を折ってお辞儀をすると、腰に手を当て、スキップをしながら部屋を出て行った。
「大丈夫かね、アレ……」
一抹の不安を拭いきれないルパン達だった。