今、ルパン達はとある一流ホテルのロビーにいた。

「ねぇ」

ルパンの背後から綾が声をかけた。

「ものものものものしい雰囲気だけど……」

警官の数がいつもより多く、皆ピリピリした様子だ。

一見したところ、銭形の姿はない。

「『もの』が多いよ、綾」

ルパンは笑って答える。

「来日してるXX国の皇女の歓迎レセプションが行われるんだ。警備が多いのはその為さ」

今回のルパンの狙いは皇女の持つ宝石だった。

不二子の情報によれば、皇族の女性に代々引き継がれているとされるその宝石は、皇女が肌身離さず持っているという。

予告状は出したが、銭形がいないところを見ると、宝石を狙われている事は公にはしていないらしい。

「行こう。部屋で皇女を待ち伏せするんだ」

ルパンは綾を促し、エレベーターで皇女の部屋へと向かった。

綾はメイドの格好をし、ワゴンに果物を乗せている。

ルパンは綾の後ろにボーイとして付き添い、次元はクロスをかけたワゴンの下に隠れている。

入り口には2人のSPらしき男。

綾は小さくお辞儀をして部屋へと入った。