あんた達、だれ?
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一瞬、驚きで言葉が出なかった。
二人組。
バーテンダーのように黒いパンツに黒いベスト。蝶ネクタイ。
そして顔には、目の部分だけを覆ったバタフライマスク。
「えーっと……」
ルパンはおそるおそる話しかけた。
「あんた達、だれ?」
すると二人はコミカルに動いたかと思うとビシッ! とポーズをきめ、
「怪盗農林1号参上!」
目も光り、歯も光る。
自分で怪盗って言うんだな……。
どうリアクションしたものか困ったルパンは、あいまいに笑って見せた。
「なんで笑ってるの、この人」
「さぁ。私に聞かないでよ」
「コルホーズ1号の方が良かったかしら?」
あまり変わらんじゃないか。
突っ込みたいのをかろうじて堪えて、ルパンは再び話しかける。
「それで、農林1号ちゃんはここで何してるのかな?」
「えぇ、ちょっと『ダイヤのしゃもじ』を盗みに」
うふふと笑った農林1号。
ちょっとそこまで買い物に、とでも言っているかのような口ぶりだ。
「そう言う貴方は何をしてるんです?」
「俺? 俺もダイヤのしゃもじをね……」
「あら! 奇遇ですわねぇ!」
農林1号は嬉しそうにパチン、と手を叩いた。
相方が呆れたようにため息をつく。
「姉さん、嬉しそうにしないの! 同じ物狙ってんのよ!?」
「あらそう。じゃ、半分こにしません?」
おいおい。
ルパンはコケそうになった。
「あのね! ダイヤは簡単に半分こできないの!」
農林1号の相方が叫んだが、本人はたいして気にしちゃいなかった。
「困りましたねぇ。ジャンケンでもします?」
そう言ってルパンに笑いかける。
がっくりとうなだれる農林1号の相方に、ルパンは心から同情した。
「2号ちゃん大丈夫……? 苦労するねぇ」
すると相方はガバッと顔を上げてルパンにくってかかった。
「2号ちゃんって何ですか! 人を愛人みたいに!」
「だって、あっちが農林1号なら、こっちは2号でしょう?」
「違います! 2人で農林1号なんです!」
「あー、そー」
言い返す気もなく、ルパンは頷いた。
「それにしても困ったわ。私、ダイヤのしゃもじで炊き込みご飯するって言っちゃったから……ねぇ、今回はあきらめてくれません?」
農林1号はさらっと言った。
「代わりにこれ、あげますから」
これ、とは隣に展示されていた埴輪だった。
「ほら、抱き枕にちょうど良いですよ?」
ニコニコと埴輪を差し出す彼女に、ルパンは怒る気にすらならない。
もうどうでもいいやと思いかけた時だ。
「ルパン! 逮捕する!」「農林! 神妙にしろ!」
入口から叫び声がした。
「うわ、とっつあんだ!」「やだ、テンチョーさんだわ!」
ルパンも農林1号も慌てて窓から外へ飛び出した。
「ルパンさーん! また会いましょーねぇ!」
農林1号の声が、夜の闇に響き渡った。
絶対会いたくない。
ルパンは強くそう思った。
終わり
二人組。
バーテンダーのように黒いパンツに黒いベスト。蝶ネクタイ。
そして顔には、目の部分だけを覆ったバタフライマスク。
「えーっと……」
ルパンはおそるおそる話しかけた。
「あんた達、だれ?」
すると二人はコミカルに動いたかと思うとビシッ! とポーズをきめ、
「怪盗農林1号参上!」
目も光り、歯も光る。
自分で怪盗って言うんだな……。
どうリアクションしたものか困ったルパンは、あいまいに笑って見せた。
「なんで笑ってるの、この人」
「さぁ。私に聞かないでよ」
「コルホーズ1号の方が良かったかしら?」
あまり変わらんじゃないか。
突っ込みたいのをかろうじて堪えて、ルパンは再び話しかける。
「それで、農林1号ちゃんはここで何してるのかな?」
「えぇ、ちょっと『ダイヤのしゃもじ』を盗みに」
うふふと笑った農林1号。
ちょっとそこまで買い物に、とでも言っているかのような口ぶりだ。
「そう言う貴方は何をしてるんです?」
「俺? 俺もダイヤのしゃもじをね……」
「あら! 奇遇ですわねぇ!」
農林1号は嬉しそうにパチン、と手を叩いた。
相方が呆れたようにため息をつく。
「姉さん、嬉しそうにしないの! 同じ物狙ってんのよ!?」
「あらそう。じゃ、半分こにしません?」
おいおい。
ルパンはコケそうになった。
「あのね! ダイヤは簡単に半分こできないの!」
農林1号の相方が叫んだが、本人はたいして気にしちゃいなかった。
「困りましたねぇ。ジャンケンでもします?」
そう言ってルパンに笑いかける。
がっくりとうなだれる農林1号の相方に、ルパンは心から同情した。
「2号ちゃん大丈夫……? 苦労するねぇ」
すると相方はガバッと顔を上げてルパンにくってかかった。
「2号ちゃんって何ですか! 人を愛人みたいに!」
「だって、あっちが農林1号なら、こっちは2号でしょう?」
「違います! 2人で農林1号なんです!」
「あー、そー」
言い返す気もなく、ルパンは頷いた。
「それにしても困ったわ。私、ダイヤのしゃもじで炊き込みご飯するって言っちゃったから……ねぇ、今回はあきらめてくれません?」
農林1号はさらっと言った。
「代わりにこれ、あげますから」
これ、とは隣に展示されていた埴輪だった。
「ほら、抱き枕にちょうど良いですよ?」
ニコニコと埴輪を差し出す彼女に、ルパンは怒る気にすらならない。
もうどうでもいいやと思いかけた時だ。
「ルパン! 逮捕する!」「農林! 神妙にしろ!」
入口から叫び声がした。
「うわ、とっつあんだ!」「やだ、テンチョーさんだわ!」
ルパンも農林1号も慌てて窓から外へ飛び出した。
「ルパンさーん! また会いましょーねぇ!」
農林1号の声が、夜の闇に響き渡った。
絶対会いたくない。
ルパンは強くそう思った。
終わり