彼女は常に嘘をつく2
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「階段室はこっちです!」
でもその先は行き止まり。
「エレベータがあります!」
でも開けたらただの部屋。
「ここなら誰にも気づかれません!」
って、言ったそばから見つかってますけど⁉︎
「いい加減にしてくれーっ!」
思わず俺は叫んでしまった。
たしかに俺は数十分前、罠でもいいと思った。
だが、綾の案内がことごとく間違っているなんてのは、さすがに俺でも想定外だ。
地味に疲れるじゃないか!
「何なんだよ!」
俺の言葉に、横を走る綾が顔を上げた。
何故か、困ったような顔をしていた。
「支離滅裂じゃないか! 一体何が目的なんだ!」
結局、彼女の言葉を鵜呑みにせず自力で出口を探すことにした俺は、廊下の先にとうとうEXITの文字を見つけて外に飛び出した。
太陽の光が眩しい。
ここに潜り込んだのは早朝だったというのに、今は夕日がオレンジの光を投げかけている。
俺は肩で息をしながら、夕日に染まった綾を見た。
見ながらぼんやりと、彼女に夕日色の髪は似合っているななどと思った。
「私はいつも嘘しか言いません」
「えっ……?」
ふいに投げかけられた言葉に、俺は我に返った。
「惑わされないように気をつけて」
綾はじっと俺を見つめていた。
その顔は無表情だったが、瞳が強い意志を持って煌めいている。
綺麗だと思った。
「もうお会いする事はないでしょう」
adieu!と言い残して彼女は消えた。
あっという間の出来事だった。
ジェットコースターのような展開の早さに、自分でもついていけず、しばらくその場に立ち尽くしていた。
一体彼女は何が目的だったのだろう。
綾という名前以外は謎のままで、はっきり言うと、怪しい事この上ない。
でも笑顔が可愛くて、夕日に染まる髪がやけに似合っていて。
『いつも嘘しか言いません』
どういうつもりであんな事を言ったのだろう。
嘘しか言わないなら、「いつも嘘しか言いません」の言葉も嘘なのか。
『助けて……』
あの言葉も。
いや、もしかしたら綾という名前すらも嘘かもしれない。
俺はもやもやした気分のままアジトへと帰る。
待てよ。
『もうお会いする事は無いでしょう』
嘘しか言わないなら、あの言葉もひょっとして……?
俺はゆっくりとアジトのドアを開ける。
「お帰りなさーい!」
綾がことのほか爽やかな笑顔で、玄関先に立っていた。
おわり
でもその先は行き止まり。
「エレベータがあります!」
でも開けたらただの部屋。
「ここなら誰にも気づかれません!」
って、言ったそばから見つかってますけど⁉︎
「いい加減にしてくれーっ!」
思わず俺は叫んでしまった。
たしかに俺は数十分前、罠でもいいと思った。
だが、綾の案内がことごとく間違っているなんてのは、さすがに俺でも想定外だ。
地味に疲れるじゃないか!
「何なんだよ!」
俺の言葉に、横を走る綾が顔を上げた。
何故か、困ったような顔をしていた。
「支離滅裂じゃないか! 一体何が目的なんだ!」
結局、彼女の言葉を鵜呑みにせず自力で出口を探すことにした俺は、廊下の先にとうとうEXITの文字を見つけて外に飛び出した。
太陽の光が眩しい。
ここに潜り込んだのは早朝だったというのに、今は夕日がオレンジの光を投げかけている。
俺は肩で息をしながら、夕日に染まった綾を見た。
見ながらぼんやりと、彼女に夕日色の髪は似合っているななどと思った。
「私はいつも嘘しか言いません」
「えっ……?」
ふいに投げかけられた言葉に、俺は我に返った。
「惑わされないように気をつけて」
綾はじっと俺を見つめていた。
その顔は無表情だったが、瞳が強い意志を持って煌めいている。
綺麗だと思った。
「もうお会いする事はないでしょう」
adieu!と言い残して彼女は消えた。
あっという間の出来事だった。
ジェットコースターのような展開の早さに、自分でもついていけず、しばらくその場に立ち尽くしていた。
一体彼女は何が目的だったのだろう。
綾という名前以外は謎のままで、はっきり言うと、怪しい事この上ない。
でも笑顔が可愛くて、夕日に染まる髪がやけに似合っていて。
『いつも嘘しか言いません』
どういうつもりであんな事を言ったのだろう。
嘘しか言わないなら、「いつも嘘しか言いません」の言葉も嘘なのか。
『助けて……』
あの言葉も。
いや、もしかしたら綾という名前すらも嘘かもしれない。
俺はもやもやした気分のままアジトへと帰る。
待てよ。
『もうお会いする事は無いでしょう』
嘘しか言わないなら、あの言葉もひょっとして……?
俺はゆっくりとアジトのドアを開ける。
「お帰りなさーい!」
綾がことのほか爽やかな笑顔で、玄関先に立っていた。
おわり