彼女は常に嘘をつく
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キュッ、キュッ。
カレンダーの昨日の日付にマジックでバツをつけ、綾はベッドから飛び降りた。
今日は約束のパーティの日。
「かっそー、かっそー、かーそーうっ!」
特徴ある節回しで仮装仮装と口ずさみながら準備を始める綾。
それを言うなら「かっせーかっせー」である。
(注:「かっ飛ばせー」が縮まったもの。野球の応援で使われる)
背中の大きく開いたミニ丈のドレス。
ベビーピンクのリップ。
髪は急には伸びないので、仕方なくカツラを使用した。
綾は身支度を終えると、鏡の前に立った。
鏡に映ったのは峰不二子。
どこから見ても完璧だった。
「うっしゃ! でけた!」
綾はニシシ、と小狡そうな笑みを浮かべた。
そっと階下の様子を窺うと、ルパンが忙しそうにパーティの準備をしていた。
次元は食材の買い出しに行っているようだ。
五エ門はというと、ソファに座って折り紙と格闘中だった。
折り紙を細長く切って輪にし、つなげていく。
幼稚園のクリスマス会とかでよく見る、輪飾りだ。
「なぁ五エ門……」
もたつく五エ門を見かねたルパンが声をかけた。
五エ門は折り紙の束を宙に放り、気合いを入れて斬鉄剣で裁断。
細長くなった折り紙がバラバラと振ってくる。
まるで、刀についた血を拭った懐紙をバッと放り投げる高橋秀樹だ。
「ハサミの方が切りやすいんでない……?」
「これも修行」
五エ門は頑としてハサミを使おうとはしなかった。
「あっそ……あ、そうだ五エ門」
「何だ」
「それは俺がやるから、五エ門はケーキ取ってきてくんない? ケーキ屋に予約してあるんだ」
「承知した」
やっと苦行から解放された五エ門は、足取りも軽く出かけて行った。
「チャンス到来!」
綾は足音を立てないように急いで自室に引き返した。
窓を開け、ロープを垂らす。
(そうだ……万が一見つかった時、顔を見られたらマズイな……)
綾はタンスを引っ掻き回し、手拭いを取り出してほっかむりをした。
器用に端をねじり上げ、鼻の下で結ぶ。
なかなか斬新な泥棒スタイルの完成である。
「よしっ。綾、いきまーっす!」
掛け声だけは勇ましく、しかし実際はかなりモタモタとロープを降りていく。
(ハァ。なんとか降りられた……)
地面におり立った綾は辺りを見回し、忍者のように素早く壁にへばりつく。
しかし目隠しになるようなものが何もないので、残念ながら綾の動きは丸見えなのだった。
ミニスカートのセクシーな変質者。
目撃者がいなかったのが幸いである。
玄関に回ると、綾はほっかむりを取り去った。
インターフォンを押そうと手を伸ばしたが、思い直してその手をひっこめる。
「チャイムを鳴らすようなお行儀の良い娘じゃないのよ、ワタシ。……イヒヒ」
綾はドアを開けて声をかけた。
「ルパ~ン!」
その声色は、完全に不二子のものだった。
カレンダーの昨日の日付にマジックでバツをつけ、綾はベッドから飛び降りた。
今日は約束のパーティの日。
「かっそー、かっそー、かーそーうっ!」
特徴ある節回しで仮装仮装と口ずさみながら準備を始める綾。
それを言うなら「かっせーかっせー」である。
(注:「かっ飛ばせー」が縮まったもの。野球の応援で使われる)
背中の大きく開いたミニ丈のドレス。
ベビーピンクのリップ。
髪は急には伸びないので、仕方なくカツラを使用した。
綾は身支度を終えると、鏡の前に立った。
鏡に映ったのは峰不二子。
どこから見ても完璧だった。
「うっしゃ! でけた!」
綾はニシシ、と小狡そうな笑みを浮かべた。
そっと階下の様子を窺うと、ルパンが忙しそうにパーティの準備をしていた。
次元は食材の買い出しに行っているようだ。
五エ門はというと、ソファに座って折り紙と格闘中だった。
折り紙を細長く切って輪にし、つなげていく。
幼稚園のクリスマス会とかでよく見る、輪飾りだ。
「なぁ五エ門……」
もたつく五エ門を見かねたルパンが声をかけた。
五エ門は折り紙の束を宙に放り、気合いを入れて斬鉄剣で裁断。
細長くなった折り紙がバラバラと振ってくる。
まるで、刀についた血を拭った懐紙をバッと放り投げる高橋秀樹だ。
「ハサミの方が切りやすいんでない……?」
「これも修行」
五エ門は頑としてハサミを使おうとはしなかった。
「あっそ……あ、そうだ五エ門」
「何だ」
「それは俺がやるから、五エ門はケーキ取ってきてくんない? ケーキ屋に予約してあるんだ」
「承知した」
やっと苦行から解放された五エ門は、足取りも軽く出かけて行った。
「チャンス到来!」
綾は足音を立てないように急いで自室に引き返した。
窓を開け、ロープを垂らす。
(そうだ……万が一見つかった時、顔を見られたらマズイな……)
綾はタンスを引っ掻き回し、手拭いを取り出してほっかむりをした。
器用に端をねじり上げ、鼻の下で結ぶ。
なかなか斬新な泥棒スタイルの完成である。
「よしっ。綾、いきまーっす!」
掛け声だけは勇ましく、しかし実際はかなりモタモタとロープを降りていく。
(ハァ。なんとか降りられた……)
地面におり立った綾は辺りを見回し、忍者のように素早く壁にへばりつく。
しかし目隠しになるようなものが何もないので、残念ながら綾の動きは丸見えなのだった。
ミニスカートのセクシーな変質者。
目撃者がいなかったのが幸いである。
玄関に回ると、綾はほっかむりを取り去った。
インターフォンを押そうと手を伸ばしたが、思い直してその手をひっこめる。
「チャイムを鳴らすようなお行儀の良い娘じゃないのよ、ワタシ。……イヒヒ」
綾はドアを開けて声をかけた。
「ルパ~ン!」
その声色は、完全に不二子のものだった。