彼女は常に嘘をつく
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ドアチャイムを鳴らすと、不二子が顔を出した。
「あら、綾」
驚いた顔をして綾を招き入れる。
「チャイム鳴らすようなお行儀の良い人が周りにいないもんだから、ちょっと驚いちゃったわ」
「急に来たりしてこめんなさい。ルパンに追い出されちゃったの」
「……本当は?」
「ヒマつぶし」
手を腰にやって睨む不二子に、綾はへらっと笑って訂正した。
綾が嘘ばかり言うのは不二子も知っている。
だから彼女が何か言う度に「本当は?」と訊き返している。
もちろん、その答えもまた虚言であるのは分かっているのだが。
「くーっ! この一杯の為に生きてるぅー!」
綾は不二子が出してくれた牛乳(綾の好物)を一気に飲み干して、満足そうに唸っている。
彼女が何故嘘ばかり言うのかは分からない。
けれど、その嘘が他愛もないものばかりで害がないから、不二子も言わせておく事にしている。
(けれど、たまにイラッとするのよね……)
「ところで不二子ちゃん」
綾が口を開いた。
「シャンプーは何を使ってるの?」
「は……?」
唐突な質問に不二子は面食らった。
「化粧品はどのブランドを愛用してる? お気に入りの香水は?」
綾は懐から小さな手帳を取り出し、鉛筆を舐め舐め不二子を質問責めにする。
スポーツ新聞の記者風にハンチングまでかぶって(注:あくまで綾のイメージです)身を乗り出す綾に、不二子はドン引きして言葉に詰まった。
「あれぇ、黙秘ですかぁ?」
うざったい程食らいついてくる綾に、不二子は無言で二杯目の牛乳を差し出す。
「あっ、こりゃスミマセンね奥さん!」
綾は手帳を放り出してグラスに手を伸ばした。
不二子は大人しくなった綾に訊ねる。
「それで? 今度は何をやらかすつもりなの?」
「データを集めてるの」
牛乳を飲み干し、口元に白いヒゲを作って綾は言った。
「データだよデータ! 粘土がなくちゃレンガは作れない」
「なんの事よ?」
「んふふー。不二子ちゃんの個人情報を集めてるの。身長167㎝、体重50㎏、スリーサイズは99.9・55.5・88.8。好きなものはお金、宝石、イイ男。苦手なものはヘビとカエルと狭い空間。それにルパン三世」
「よく知ってるわね」
「はいっ。全国1億5千845万人の不二子ファンの皆様から情報を集めました!」
「ウソおっしゃい」
不二子がピシャリと言うと、
「はいウソです! ホントは警察にある広域Aランク犯罪者のデータをハッキング致しました!」
綾はすぐさま言い直す。
不二子はやれやれとため息をついた。
「あのね綾」
「はいっ」
「私の個人情報を集めて、何に使うの?」
「全国1億5千845万人の不二子ファンの皆様に売りつけます!」
「……本当は?」
「ワタクシの個人的シュミでございます」
「そう」
とうとう追求するのをあきらめた不二子。
綾はここぞとばかりにまた手帳を片手に質問した。
「えー、最近イラッときたことは?」
「今よ!」
不二子は即答した。
「あら、綾」
驚いた顔をして綾を招き入れる。
「チャイム鳴らすようなお行儀の良い人が周りにいないもんだから、ちょっと驚いちゃったわ」
「急に来たりしてこめんなさい。ルパンに追い出されちゃったの」
「……本当は?」
「ヒマつぶし」
手を腰にやって睨む不二子に、綾はへらっと笑って訂正した。
綾が嘘ばかり言うのは不二子も知っている。
だから彼女が何か言う度に「本当は?」と訊き返している。
もちろん、その答えもまた虚言であるのは分かっているのだが。
「くーっ! この一杯の為に生きてるぅー!」
綾は不二子が出してくれた牛乳(綾の好物)を一気に飲み干して、満足そうに唸っている。
彼女が何故嘘ばかり言うのかは分からない。
けれど、その嘘が他愛もないものばかりで害がないから、不二子も言わせておく事にしている。
(けれど、たまにイラッとするのよね……)
「ところで不二子ちゃん」
綾が口を開いた。
「シャンプーは何を使ってるの?」
「は……?」
唐突な質問に不二子は面食らった。
「化粧品はどのブランドを愛用してる? お気に入りの香水は?」
綾は懐から小さな手帳を取り出し、鉛筆を舐め舐め不二子を質問責めにする。
スポーツ新聞の記者風にハンチングまでかぶって(注:あくまで綾のイメージです)身を乗り出す綾に、不二子はドン引きして言葉に詰まった。
「あれぇ、黙秘ですかぁ?」
うざったい程食らいついてくる綾に、不二子は無言で二杯目の牛乳を差し出す。
「あっ、こりゃスミマセンね奥さん!」
綾は手帳を放り出してグラスに手を伸ばした。
不二子は大人しくなった綾に訊ねる。
「それで? 今度は何をやらかすつもりなの?」
「データを集めてるの」
牛乳を飲み干し、口元に白いヒゲを作って綾は言った。
「データだよデータ! 粘土がなくちゃレンガは作れない」
「なんの事よ?」
「んふふー。不二子ちゃんの個人情報を集めてるの。身長167㎝、体重50㎏、スリーサイズは99.9・55.5・88.8。好きなものはお金、宝石、イイ男。苦手なものはヘビとカエルと狭い空間。それにルパン三世」
「よく知ってるわね」
「はいっ。全国1億5千845万人の不二子ファンの皆様から情報を集めました!」
「ウソおっしゃい」
不二子がピシャリと言うと、
「はいウソです! ホントは警察にある広域Aランク犯罪者のデータをハッキング致しました!」
綾はすぐさま言い直す。
不二子はやれやれとため息をついた。
「あのね綾」
「はいっ」
「私の個人情報を集めて、何に使うの?」
「全国1億5千845万人の不二子ファンの皆様に売りつけます!」
「……本当は?」
「ワタクシの個人的シュミでございます」
「そう」
とうとう追求するのをあきらめた不二子。
綾はここぞとばかりにまた手帳を片手に質問した。
「えー、最近イラッときたことは?」
「今よ!」
不二子は即答した。