風邪ひくぜ
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すっかり日が落ち暗くなった道を、フィアットが走っていく。
「少しスピード出しすぎじゃない……?」
綾は運転席のルパンを見やった。
ルパンは無表情で、黙って前方を見据えている。
いつもと違う彼の様子に、綾は首を傾げた。
「くしゅん」
冷たい夜気に、綾は小さなくしゃみをした。
バサッ。
運転席から赤いジャケットが飛んでくる。
「風邪ひくぜ」
「あ、ありがと」
ルパンのジャケットをはおりながら、ちらりと横を見やると、彼はやはり無表情でハンドルを握っている。
「あのぉ。なんか、怒ってます……?」
「怒ってますよぉ? よりによって、あんなオジサンに……」
綾は思わず吹き出した。
「ルパンだってオジサンじゃない」
「一緒にすんなっつーの!」
ルパンが急ハンドルをきった。
遠心力に振られた綾は運転席へと倒れ込み、ルパンにしがみつく。
車が停まった。
「ルパン……?」
体を起こそうとしたが、ルパンが肩を抱いたまま離さない。
「綾は俺のもんだ」
「俺のって……ンじゃ、不二子さんは?」
「不二子も俺の!」
「呆れた」
綾はため息をついた。
「オモチャを独占したがる子供みたい」
「何とでも言え」
肩を抱いたルパンの手に力がこもる。
「とっつぁんには渡さねぇ。泥棒が大事なモン盗まれるなんて、冗談じゃない」
綾はクスクス笑ってルパンを見上げた。
「それってもしかして、ヤキモチ……?」
「悪いか」
微笑みの名残を口許に残して、綾はルパンの体に両手を回した。
「悪くないよ、ルパン」
おわり
「少しスピード出しすぎじゃない……?」
綾は運転席のルパンを見やった。
ルパンは無表情で、黙って前方を見据えている。
いつもと違う彼の様子に、綾は首を傾げた。
「くしゅん」
冷たい夜気に、綾は小さなくしゃみをした。
バサッ。
運転席から赤いジャケットが飛んでくる。
「風邪ひくぜ」
「あ、ありがと」
ルパンのジャケットをはおりながら、ちらりと横を見やると、彼はやはり無表情でハンドルを握っている。
「あのぉ。なんか、怒ってます……?」
「怒ってますよぉ? よりによって、あんなオジサンに……」
綾は思わず吹き出した。
「ルパンだってオジサンじゃない」
「一緒にすんなっつーの!」
ルパンが急ハンドルをきった。
遠心力に振られた綾は運転席へと倒れ込み、ルパンにしがみつく。
車が停まった。
「ルパン……?」
体を起こそうとしたが、ルパンが肩を抱いたまま離さない。
「綾は俺のもんだ」
「俺のって……ンじゃ、不二子さんは?」
「不二子も俺の!」
「呆れた」
綾はため息をついた。
「オモチャを独占したがる子供みたい」
「何とでも言え」
肩を抱いたルパンの手に力がこもる。
「とっつぁんには渡さねぇ。泥棒が大事なモン盗まれるなんて、冗談じゃない」
綾はクスクス笑ってルパンを見上げた。
「それってもしかして、ヤキモチ……?」
「悪いか」
微笑みの名残を口許に残して、綾はルパンの体に両手を回した。
「悪くないよ、ルパン」
おわり