悪ィ。
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辺りはすっかり暗くなっている。
雨は静かに、小雨へと姿を変えつつあった。
やがて山道を抜け、付近の町へと続く一本道にたどり着いた。
無事に国境を越えたらしい。
道沿いにしばらく歩くと、道路端に小さな車が止まっていた。
フィアット500。
ルパンが用意した車だ。
「綾、大丈夫か?」
後部座席のドアを開け、彼女を下ろした。
綾は返事をせず、弱々しく顔を上げて俺を見た。
傷口から下が真っ赤だ。
ふと見れば、自分の服も彼女の血で染まっていた。
歩く振動で傷口があたっていたのだろう。
相当痛かったはずなのに、彼女はうめき声ひとつ上げなかった。
なんでうまく抱えてやれなかったんだ。
俺に気を遣わせまいとして何も言わねぇ事くらい、なんで早く気付いてやれなかったんだ。
後悔ばかりが募り、そんな自分に苛立った。
そんな気持ちのまま傷口を縛り直していると、頭上からためらいがちに声がかかった。
「あの、次元……」
「あぁ?」
「私、平気だか……」
「んなわけねぇだろ!」
「え?」
「50口径くらったみてぇな穴あいてんだぞ。平気なわけねぇだろうが!」
「……」
苛立ちに任せ、最後は大声で怒鳴っていた。
綾は体を震わせ、俯いて黙り込んだ。
泣かせちまったか。
だが、こんな状態でもまだ我慢しようとする彼女にいらついた。
俺が相手だと怖いだの手をつなげだのって程度で……
手も焼かせねぇ。
やせ我慢なんかせずに、ルパン相手の時みたいに、歩けないから抱えてってくれと……
痛ぇなら痛ぇと……
素直に言ってほしかった。
しかし、こんな状態の彼女を怒鳴るなんて酷だと、即座に思い直した。
「悪かったな。怒鳴っちまって」
呟くように言う。
「私の方こそ、無理してかえって迷惑かけちゃって……ごめんなさい」
俯いたままの彼女から、小さな声が返ってくる。
しばらくの間、沈黙が続いた。
雨は静かに、小雨へと姿を変えつつあった。
やがて山道を抜け、付近の町へと続く一本道にたどり着いた。
無事に国境を越えたらしい。
道沿いにしばらく歩くと、道路端に小さな車が止まっていた。
フィアット500。
ルパンが用意した車だ。
「綾、大丈夫か?」
後部座席のドアを開け、彼女を下ろした。
綾は返事をせず、弱々しく顔を上げて俺を見た。
傷口から下が真っ赤だ。
ふと見れば、自分の服も彼女の血で染まっていた。
歩く振動で傷口があたっていたのだろう。
相当痛かったはずなのに、彼女はうめき声ひとつ上げなかった。
なんでうまく抱えてやれなかったんだ。
俺に気を遣わせまいとして何も言わねぇ事くらい、なんで早く気付いてやれなかったんだ。
後悔ばかりが募り、そんな自分に苛立った。
そんな気持ちのまま傷口を縛り直していると、頭上からためらいがちに声がかかった。
「あの、次元……」
「あぁ?」
「私、平気だか……」
「んなわけねぇだろ!」
「え?」
「50口径くらったみてぇな穴あいてんだぞ。平気なわけねぇだろうが!」
「……」
苛立ちに任せ、最後は大声で怒鳴っていた。
綾は体を震わせ、俯いて黙り込んだ。
泣かせちまったか。
だが、こんな状態でもまだ我慢しようとする彼女にいらついた。
俺が相手だと怖いだの手をつなげだのって程度で……
手も焼かせねぇ。
やせ我慢なんかせずに、ルパン相手の時みたいに、歩けないから抱えてってくれと……
痛ぇなら痛ぇと……
素直に言ってほしかった。
しかし、こんな状態の彼女を怒鳴るなんて酷だと、即座に思い直した。
「悪かったな。怒鳴っちまって」
呟くように言う。
「私の方こそ、無理してかえって迷惑かけちゃって……ごめんなさい」
俯いたままの彼女から、小さな声が返ってくる。
しばらくの間、沈黙が続いた。