仲良くやろうや
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夜の街は、雨だった。
綾は一人で裏通りを歩いていた。
傘は持っていない。
濡れるのが嫌なわけではない。今夜は、そんなことを気にしている場合ではなかった。
ポケットの中には、小さな箱がひとつ。
これを指定された場所へ届ける。
それだけの仕事だ。
簡単なはずだった。
ただし───相手が、警察も裏社会も手を出したがらない連中でなければ。
「綾」
背後からの声に、足が止まった。
振り返らなくても分かる。
「次元……」
街灯の下に、次元が立っていた。
煙草を咥え、帽子の影からこちらを見ている。
「こんな時間に、こんな所で何してる」
「散歩」
「へえ」次元は鼻で笑った。
「ずいぶん物騒な散歩だな」
綾は黙った。
どうやら、懐の銃の存在はバレバレのようだった。
次元はゆっくり歩み寄った。
「ルパンには?」
「言ってない」
「だろうな」
「どうして分かるのよ」
「言ってたら、俺もここにはいねぇ」
綾は小さく息を吐いた。
「……私一人で十分よ」
「そうかい」
次元は煙草の煙を吐き出した。
白い煙が雨の向こうへ消えていく。
「じゃあ俺も行く」
「は?」
「聞こえなかったか?」
「聞こえたけど……どうして?」
「お前一人じゃ危なっかしい」
「失礼ね」
「事実だろ」
「……帰って」
「断る」
即答だった。
綾は次元を睨む。
けれど次元は、いつものように平然としている。
「これは私の仕事よ」
「知ってる」
「だったら、」
「だから付き合う」
その声だけが、少し低かった。
綾は言葉を失った。
雨音が二人の間の沈黙を埋める。
「……死ぬかもしれないわよ」
「お前もな」
「私は死なない」
「そう思ってる奴ほど危ねぇんだ」
次元はそう言って、綾の横を通り過ぎた。
「ほら、行くぞ」
「……勝手にすれば」
その背中を追いながら、綾は小さく笑った。
結局、こうなる。
いつもそうだ。
危ないことをすれば、誰かがついてくる。
そして、その誰かが次元なら───怖くない。
綾は一人で裏通りを歩いていた。
傘は持っていない。
濡れるのが嫌なわけではない。今夜は、そんなことを気にしている場合ではなかった。
ポケットの中には、小さな箱がひとつ。
これを指定された場所へ届ける。
それだけの仕事だ。
簡単なはずだった。
ただし───相手が、警察も裏社会も手を出したがらない連中でなければ。
「綾」
背後からの声に、足が止まった。
振り返らなくても分かる。
「次元……」
街灯の下に、次元が立っていた。
煙草を咥え、帽子の影からこちらを見ている。
「こんな時間に、こんな所で何してる」
「散歩」
「へえ」次元は鼻で笑った。
「ずいぶん物騒な散歩だな」
綾は黙った。
どうやら、懐の銃の存在はバレバレのようだった。
次元はゆっくり歩み寄った。
「ルパンには?」
「言ってない」
「だろうな」
「どうして分かるのよ」
「言ってたら、俺もここにはいねぇ」
綾は小さく息を吐いた。
「……私一人で十分よ」
「そうかい」
次元は煙草の煙を吐き出した。
白い煙が雨の向こうへ消えていく。
「じゃあ俺も行く」
「は?」
「聞こえなかったか?」
「聞こえたけど……どうして?」
「お前一人じゃ危なっかしい」
「失礼ね」
「事実だろ」
「……帰って」
「断る」
即答だった。
綾は次元を睨む。
けれど次元は、いつものように平然としている。
「これは私の仕事よ」
「知ってる」
「だったら、」
「だから付き合う」
その声だけが、少し低かった。
綾は言葉を失った。
雨音が二人の間の沈黙を埋める。
「……死ぬかもしれないわよ」
「お前もな」
「私は死なない」
「そう思ってる奴ほど危ねぇんだ」
次元はそう言って、綾の横を通り過ぎた。
「ほら、行くぞ」
「……勝手にすれば」
その背中を追いながら、綾は小さく笑った。
結局、こうなる。
いつもそうだ。
危ないことをすれば、誰かがついてくる。
そして、その誰かが次元なら───怖くない。