他人の受難はエンターテイメントである
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「ひでぇ雨だぜ」
外から帰ってきた次元が肩の水滴を払いながらリビングに入るやいなや、小さな影が彼の懐に飛び込んできた。
「次元っ、どうしよう! どうしよう、どうしよう!」
「綾? なんだ、どうした」
「ルパンが私に恋の相談をしてきたの!」
「……あぁ?」
綾は次元の胸にしがみつき、半泣きでまくしたてる。
「不二子のことかと思ったのよ! でも違ったの! 相手にされないんじゃなかった!」
「待て待て、一旦落ち着け。俺には話がサッパリだ」
次元は綾の両肩に手を置いて自分から引き剥がし、ソファに座らせた。
自分も隣に腰を下ろす。
「……ルパンが相談に乗ってくれと、そう言ったんだな?」
綾はコクリと頷いた。
「ルパンがね、友達の恋の相談をしてきて……」
「友達だぁ?」
「うん。でもまぁ、そういうのって大概自分のことだったりするじゃない? だから『貴方のことでしょ、お見通しよ』って言ってやったの」
「鋭いじゃねぇか。で?」
「不二子に何てプロポーズするつもりかって聞いたら、観察が足りないって言われて、その時は分からなかったんだけど……思い返してみたら、あれは私の事だって気づいたの!」
綾は次元に向き直って、彼の方に身を乗り出した。
「どうしよう! ねぇ次元、どうしたらいい⁉︎」
次元は面倒そうに煙草を取り出した。
「落ち着けって。殺人事件じゃあるまいし」
「私は死にそうよ!」
「くくっ、死なねぇから安心しろ」
「もう! 笑わないでよ!」
綾は真っ赤になって立ち上がる。
「もう! もうっ……寝る!」
「おう。夢見悪かったら自己責任だぞ」
ドアがバタンと閉まる。
静寂。煙草の煙がゆらりと漂う。
次の瞬間──バタン!
ドアが再び大きな音を立てて開いた。
「じげーん!」
情けない声をあげて、ルパンがしがみついてきた。
「今度はお前かよ!」
「綾に勘違いされてんだよ! 相手にされてないどころか、気づいてなかった! 不二子だと思ってたんだよ!」
「自業自得だろ。ややこしい言い回ししてねぇでストレートに言やぁいいじゃねぇか」
「言えねぇから悩んでるんじゃねぇか!」
「知らねぇよ! 勝手にしろ!」
「そんな冷たいこと言うなよー! 相棒だろぉ⁉︎」
「しがみつくな!」
二人の押し問答が続くリビング。
(ふむ……)
その端で、五エ門が湯飲みを手に静かに座っていた。
彼はずっとリビングの隅でお茶をすすっていたのだが、綾も次元も、ルパンも気づいてはいなかった。
(まこと、他人の受難は面白いものよ……)
終わり
外から帰ってきた次元が肩の水滴を払いながらリビングに入るやいなや、小さな影が彼の懐に飛び込んできた。
「次元っ、どうしよう! どうしよう、どうしよう!」
「綾? なんだ、どうした」
「ルパンが私に恋の相談をしてきたの!」
「……あぁ?」
綾は次元の胸にしがみつき、半泣きでまくしたてる。
「不二子のことかと思ったのよ! でも違ったの! 相手にされないんじゃなかった!」
「待て待て、一旦落ち着け。俺には話がサッパリだ」
次元は綾の両肩に手を置いて自分から引き剥がし、ソファに座らせた。
自分も隣に腰を下ろす。
「……ルパンが相談に乗ってくれと、そう言ったんだな?」
綾はコクリと頷いた。
「ルパンがね、友達の恋の相談をしてきて……」
「友達だぁ?」
「うん。でもまぁ、そういうのって大概自分のことだったりするじゃない? だから『貴方のことでしょ、お見通しよ』って言ってやったの」
「鋭いじゃねぇか。で?」
「不二子に何てプロポーズするつもりかって聞いたら、観察が足りないって言われて、その時は分からなかったんだけど……思い返してみたら、あれは私の事だって気づいたの!」
綾は次元に向き直って、彼の方に身を乗り出した。
「どうしよう! ねぇ次元、どうしたらいい⁉︎」
次元は面倒そうに煙草を取り出した。
「落ち着けって。殺人事件じゃあるまいし」
「私は死にそうよ!」
「くくっ、死なねぇから安心しろ」
「もう! 笑わないでよ!」
綾は真っ赤になって立ち上がる。
「もう! もうっ……寝る!」
「おう。夢見悪かったら自己責任だぞ」
ドアがバタンと閉まる。
静寂。煙草の煙がゆらりと漂う。
次の瞬間──バタン!
ドアが再び大きな音を立てて開いた。
「じげーん!」
情けない声をあげて、ルパンがしがみついてきた。
「今度はお前かよ!」
「綾に勘違いされてんだよ! 相手にされてないどころか、気づいてなかった! 不二子だと思ってたんだよ!」
「自業自得だろ。ややこしい言い回ししてねぇでストレートに言やぁいいじゃねぇか」
「言えねぇから悩んでるんじゃねぇか!」
「知らねぇよ! 勝手にしろ!」
「そんな冷たいこと言うなよー! 相棒だろぉ⁉︎」
「しがみつくな!」
二人の押し問答が続くリビング。
(ふむ……)
その端で、五エ門が湯飲みを手に静かに座っていた。
彼はずっとリビングの隅でお茶をすすっていたのだが、綾も次元も、ルパンも気づいてはいなかった。
(まこと、他人の受難は面白いものよ……)
終わり