そんなつもりじゃなかった
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残された二人はしばらく無言で見つめ合ったが、先に次元の方が口を開いた。
「……怪我してねぇか」
「……うん」
次元は綾の服や髪についた土や埃を丁寧に払った。
彼女の手が震えているのに気づき、次元はその手を握りしめる。
「怖かっただろ?」
綾は次元の首に腕を回して抱きついた。
「……来てくれてありがとう」
安堵で涙ぐむ彼女の肩を抱き、次元もホッと息を吐いた。
「ごめんね次元。せっかくのデートだったのに、邪魔しちゃった」
綾は片袖で涙を拭いた。
「そんなつもりじゃなかったの」
綾はしばらく口ごもった後、申し訳なさそうに小さな声で続けた。
「もらった石、アクセサリーにしようと思って……あの指輪、綺麗だったから……加工した職人さんとか知ってたら、紹介してほしいなって……」
次元は黙ったまま綾を見つめていたが、ふっと苦笑する。
「……変なとこで律儀だな、お前は」
「私はもう大丈夫だから、次元はあの人の所へ戻って。本当にごめんなさい」
次元は彼女の話を黙って聞いていたが、片手で自分の顔を覆って大きなため息をついた。
「なに?」
綾は怪訝そうに次元を見た。
次元はもう一度ため息をついて、ぼそりと呟いた。
「お前さんには勘違いをされたくないんだが」
「え……?」
次元の手が伸びてきて、綾の頬に触れた。
綾は思わず目を瞑る。
チュッと音を立てて触れた唇の感触に、驚いて目を見開いた。
「俺の気持ちは、もうとっくに分かっていると思っていたんだがな」
彼の指がそっと綾の唇をなぞり、離れていく。
至近距離で見つめられて、綾は真っ赤になったまま動けない。
「サラは、俺の友人……昔懇意にしていた情報屋の細君だ。あの指輪はダチが彼女のためにと用意した物だが、船旅の途中で海賊に襲われて……」
指輪も彼も、彼女のもとには帰らなかった。
「それで次元は……盗みに?」
「とある宝石コレクターがコンクパールのコレクションを持ってるって聞いてな」
綾は肩の力を抜いた。
「なんだ、そうだったんだ……私はてっきり、恋人にプレゼントするのかと……」
「テメェの女に盗んだ指輪なんかやるかよ」
次元はムッとした顔で綾を見た。
「だいたい、今更こんな勘違いするとは思わねぇんだよ、こっちは」
「それは……悪かったけど。けど……」
(何も言ってくれなかったじゃない)
と思いながら、綾は次元を見た。
次元はため息混じりに言った。
「……言葉にしねぇと分からねぇか。……ったく、めんどくせぇな」
綾は目を見開いた。
「好きだよ。お前のことが」
ぶっきらぼうな声だったけれど、それは紛れもない本音だった。
綾は、涙がまたこぼれそうになるのを笑って誤魔化しながら、そっと次元の胸に額を預けた。
「……うん。知ってた。……でも、聞けてよかった」
次元は小さく笑うと、もう一度綾を抱きしめた。
終わり。
次ページおまけ→
「……怪我してねぇか」
「……うん」
次元は綾の服や髪についた土や埃を丁寧に払った。
彼女の手が震えているのに気づき、次元はその手を握りしめる。
「怖かっただろ?」
綾は次元の首に腕を回して抱きついた。
「……来てくれてありがとう」
安堵で涙ぐむ彼女の肩を抱き、次元もホッと息を吐いた。
「ごめんね次元。せっかくのデートだったのに、邪魔しちゃった」
綾は片袖で涙を拭いた。
「そんなつもりじゃなかったの」
綾はしばらく口ごもった後、申し訳なさそうに小さな声で続けた。
「もらった石、アクセサリーにしようと思って……あの指輪、綺麗だったから……加工した職人さんとか知ってたら、紹介してほしいなって……」
次元は黙ったまま綾を見つめていたが、ふっと苦笑する。
「……変なとこで律儀だな、お前は」
「私はもう大丈夫だから、次元はあの人の所へ戻って。本当にごめんなさい」
次元は彼女の話を黙って聞いていたが、片手で自分の顔を覆って大きなため息をついた。
「なに?」
綾は怪訝そうに次元を見た。
次元はもう一度ため息をついて、ぼそりと呟いた。
「お前さんには勘違いをされたくないんだが」
「え……?」
次元の手が伸びてきて、綾の頬に触れた。
綾は思わず目を瞑る。
チュッと音を立てて触れた唇の感触に、驚いて目を見開いた。
「俺の気持ちは、もうとっくに分かっていると思っていたんだがな」
彼の指がそっと綾の唇をなぞり、離れていく。
至近距離で見つめられて、綾は真っ赤になったまま動けない。
「サラは、俺の友人……昔懇意にしていた情報屋の細君だ。あの指輪はダチが彼女のためにと用意した物だが、船旅の途中で海賊に襲われて……」
指輪も彼も、彼女のもとには帰らなかった。
「それで次元は……盗みに?」
「とある宝石コレクターがコンクパールのコレクションを持ってるって聞いてな」
綾は肩の力を抜いた。
「なんだ、そうだったんだ……私はてっきり、恋人にプレゼントするのかと……」
「テメェの女に盗んだ指輪なんかやるかよ」
次元はムッとした顔で綾を見た。
「だいたい、今更こんな勘違いするとは思わねぇんだよ、こっちは」
「それは……悪かったけど。けど……」
(何も言ってくれなかったじゃない)
と思いながら、綾は次元を見た。
次元はため息混じりに言った。
「……言葉にしねぇと分からねぇか。……ったく、めんどくせぇな」
綾は目を見開いた。
「好きだよ。お前のことが」
ぶっきらぼうな声だったけれど、それは紛れもない本音だった。
綾は、涙がまたこぼれそうになるのを笑って誤魔化しながら、そっと次元の胸に額を預けた。
「……うん。知ってた。……でも、聞けてよかった」
次元は小さく笑うと、もう一度綾を抱きしめた。
終わり。
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