Friendly Fire
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予告の日。
綾と次元はとあるビルの屋上で待機していた。
ルパンに指示されたのは、ここから1キロ程先のビルにいる特定の人物の待つグラスを撃ち抜くこと。
『命を狙われた』と勘違いさせるのが目的らしい。
「風はないし、絶好の狙撃日和だね」
「狙撃日和って何だよ」
次元はライフルのスコープを覗いたまま微動だにしないが、綾に返事を返す。
ルパンは約束通りフォローをしてくれたようだった。
お陰で綾と次元はギクシャクせず、お互い何もなかったかのように接している。
「そんな日和なら、何でツーマンセルなんだよ。弾道計算ならPDA付きだし、敵がいるわけでもねぇのに」
「聞いてないの? なんか同じ物狙ってる組織がいるんだって。大丈夫よ、周囲はちゃんと見てるから」
「…………」
次元は何も答えなかったが、それこそ綾を信頼している証だと、綾も分かっていた。
「……悪かった」
突然、次元がポツリと言った。
「何?」
「あの喧嘩の前にお前が変なことを言っていた、と五エ門から聞いた」
綾は黙り込んだ。
好きだったのに『うわ、ないわー』って思う時よ───
綾にとって幸か不幸か、五エ門はあの会話とあの喧嘩を正しく関連づけたようだ。
「それで、ルパンを問い詰めたら白状しやがった。……まったく、2人して勝手に共謀して、俺に酷いことを言わせやがって」
「それは……」
言いかけたが、次元の銃を持つ手に力が入ったのを見て、綾はそろそろだなと口を噤んだ。
張り詰めた緊張感と静寂のなか、銃声が響く。
「…………」
ややあって、ようやく次元が銃から顔を上げた。
淡々と片付けを始める彼に綾は先ほど飲み込んだ言葉を投げ掛ける。
「ごめん」
その言葉に次元は一瞬だけ手を止めたが、顔も上げずに片付けを再開する。
「あぁ……いや、むしろ謝るのはこっちだ。悪かった……傷つけて」
どこか気まずそうに視線を合わせようとしない彼に、綾は思わずクスッと笑った。
(子供みたいなんだから)
彼の横顔を見ながら、やっぱり好きだなぁとしみじみ思う。
「傷ついたなんて誰が言ったのよ」
綾は言った。
「私、諦めてないから」
「あ?」
綾の言葉に次元は驚いて顔を上げる。
「付き合わないって言われたって、何度でもアタックするんだから。簡単に振られてあげると思ったら大間違いよ。覚悟しといて」
「お前……」
次元の驚いた顔が、やがてニヤリと笑った。
「上等だ」
2人の目が合い、同時に笑い合った。
綾と次元はとあるビルの屋上で待機していた。
ルパンに指示されたのは、ここから1キロ程先のビルにいる特定の人物の待つグラスを撃ち抜くこと。
『命を狙われた』と勘違いさせるのが目的らしい。
「風はないし、絶好の狙撃日和だね」
「狙撃日和って何だよ」
次元はライフルのスコープを覗いたまま微動だにしないが、綾に返事を返す。
ルパンは約束通りフォローをしてくれたようだった。
お陰で綾と次元はギクシャクせず、お互い何もなかったかのように接している。
「そんな日和なら、何でツーマンセルなんだよ。弾道計算ならPDA付きだし、敵がいるわけでもねぇのに」
「聞いてないの? なんか同じ物狙ってる組織がいるんだって。大丈夫よ、周囲はちゃんと見てるから」
「…………」
次元は何も答えなかったが、それこそ綾を信頼している証だと、綾も分かっていた。
「……悪かった」
突然、次元がポツリと言った。
「何?」
「あの喧嘩の前にお前が変なことを言っていた、と五エ門から聞いた」
綾は黙り込んだ。
好きだったのに『うわ、ないわー』って思う時よ───
綾にとって幸か不幸か、五エ門はあの会話とあの喧嘩を正しく関連づけたようだ。
「それで、ルパンを問い詰めたら白状しやがった。……まったく、2人して勝手に共謀して、俺に酷いことを言わせやがって」
「それは……」
言いかけたが、次元の銃を持つ手に力が入ったのを見て、綾はそろそろだなと口を噤んだ。
張り詰めた緊張感と静寂のなか、銃声が響く。
「…………」
ややあって、ようやく次元が銃から顔を上げた。
淡々と片付けを始める彼に綾は先ほど飲み込んだ言葉を投げ掛ける。
「ごめん」
その言葉に次元は一瞬だけ手を止めたが、顔も上げずに片付けを再開する。
「あぁ……いや、むしろ謝るのはこっちだ。悪かった……傷つけて」
どこか気まずそうに視線を合わせようとしない彼に、綾は思わずクスッと笑った。
(子供みたいなんだから)
彼の横顔を見ながら、やっぱり好きだなぁとしみじみ思う。
「傷ついたなんて誰が言ったのよ」
綾は言った。
「私、諦めてないから」
「あ?」
綾の言葉に次元は驚いて顔を上げる。
「付き合わないって言われたって、何度でもアタックするんだから。簡単に振られてあげると思ったら大間違いよ。覚悟しといて」
「お前……」
次元の驚いた顔が、やがてニヤリと笑った。
「上等だ」
2人の目が合い、同時に笑い合った。