悪ィ。
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「次元……」
背後から心配そうな声が飛んできた。
「うーん」
しばし立ち止り、地図とコンパスを見比べて顔を上げる。
見渡す限り鬱蒼とした茂みと木々の連なり。
つまりは山の中。
「まさか、迷ったなんて言わないよね……」
俺は黙って汗をぬぐい、彼女を見下ろした。
彼女───
綾はじっと俺の顔を見上げている。
「悪ィ」
綾の顔に不安の色が広がった。
大きな瞳が揺らいでいる。
「やっぱりこの山経由の国境越えなんてムチャだったんだよ」
彼女は眉根を寄せて泣きそうな顔で言った。
「暗くなってきたし、このままじゃ夜になっちゃう」
「山ったってたいした大きさじゃねぇ。大丈夫だ。心配すんな」
俺は綾の不安を和らげようと抱き寄せようとして、止めた。
代わりに背中をポンと叩く。
「行こうぜ」
俺は先に立って歩き出した。彼女は黙ってついてくる。
彼女───
綾はルパンの女だ。
出会いは平凡なものだったが、ルパンはすぐに彼女に夢中になった。
正直、どこがいいのかよくわからない。
おっとりしていて不器用で、怖がりで泣き虫。
その性格のせいでよくトラブルに巻き込まれ、その度にルパンが甲斐甲斐しく手を貸してやっていた。
それにしても暑いな。
彼女の言う通り、この国境越えは失敗だったかもしれない。
背後から心配そうな声が飛んできた。
「うーん」
しばし立ち止り、地図とコンパスを見比べて顔を上げる。
見渡す限り鬱蒼とした茂みと木々の連なり。
つまりは山の中。
「まさか、迷ったなんて言わないよね……」
俺は黙って汗をぬぐい、彼女を見下ろした。
彼女───
綾はじっと俺の顔を見上げている。
「悪ィ」
綾の顔に不安の色が広がった。
大きな瞳が揺らいでいる。
「やっぱりこの山経由の国境越えなんてムチャだったんだよ」
彼女は眉根を寄せて泣きそうな顔で言った。
「暗くなってきたし、このままじゃ夜になっちゃう」
「山ったってたいした大きさじゃねぇ。大丈夫だ。心配すんな」
俺は綾の不安を和らげようと抱き寄せようとして、止めた。
代わりに背中をポンと叩く。
「行こうぜ」
俺は先に立って歩き出した。彼女は黙ってついてくる。
彼女───
綾はルパンの女だ。
出会いは平凡なものだったが、ルパンはすぐに彼女に夢中になった。
正直、どこがいいのかよくわからない。
おっとりしていて不器用で、怖がりで泣き虫。
その性格のせいでよくトラブルに巻き込まれ、その度にルパンが甲斐甲斐しく手を貸してやっていた。
それにしても暑いな。
彼女の言う通り、この国境越えは失敗だったかもしれない。