助けてくれ
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
夜、階下の物音に綾は目を覚ました。
ルパン達は三人揃って朝から出かけており、綾は留守番だった。
物音を立てないように階段をおりて、おそるおそるリビングを覗く。
暗闇に目を凝らすと、キッチンに見覚えのある人影が見えた。
「五エ門……?」
そっと呼びかける。
影がゆらりと動いてこちらを見上げた。
「綾か。すまない…… 起こしてしまったな」
五エ門の声が返ってきたので、安心して歩み寄る。
「どうしたの」
「水を飲もうとして、グラスを…… 落としてしまった」
「私が片付けるから、こっちに来て」
五エ門はゆっくり綾の方へ近づいてきた。
「すまない……こんな夜更けに、世話を……かけて」
話し方がおかしい。
トーンもボリュームも最低限。
荒い呼吸と、何かを堪えるような無言に阻まれて、言葉も途切れ途切れだ。
綾は暗闇の中、五エ門の顔を見上げた。
当然、見えるはずもないが、彼は明らかに変だった。
「電気つけるね」
胸騒ぎを覚えつつ、綾は明かりをつけた。
眩しさに一瞬目を細める。
「あっ……!」
五エ門の身体が傾き、綾はそれに押されるようにしてトンッという軽い衝撃を背中に受ける。
気づいた時には、五エ門に両肩を掴まれて背後の冷蔵庫に押しつけられ、身動きが取れなくなっていた。
「ご、五エ門……?」
顔を見上げて言葉を失った。
五エ門は熱っぽく綾見つめていた。
潤んだ瞳と紅潮した頬が妙に色っぽく、綾はドキドキしてしまう。
そのまま見つめあっていると、五エ門がゆっくりと口を開いた。
「道中で移動販売車を見かけてな。次元が、あれは最近オナゴに人気があるやつだと言うから、美味しければ綾にも飲ませてやろうと思って試しに買い求めたのだが……それを飲んだ後から気分が悪くなったんだ。仕方なく後をルパン達に任せて先に帰ってきた」
「気分が悪いの?」
「あぁ。何か盛られたのかもしれん……かき混ぜたら底に変な沈殿物があった」
「⁉︎」
「変なんだ……先刻から、体がひどく熱くて」
五エ門は苦しそうに、切なげな顔で綾に訴えた。
「綾……助けてくれ、綾……」
弱々しい声で綾の名を呼び、彼女の肩に顔をうずめ、抱きしめる。
「五エ門……」
綾の頬に五エ門の柔らかな髪の毛が触れ、荒い息づかいが耳元で聞こえる。
抱きしめられた体から彼の体温が伝わった。
熱い。
「五エ門」
「熱いのに寒くて……あと喉も……」
「それ風邪!」
綾は叫んだ。
「早く横になって! 私、氷枕を用意するから!」
氷を用意をしながら、綾はドキドキする胸を押さえ、ため息をついた。
「あー、びっくりした……」
おわり
次ページおまけ→
ルパン達は三人揃って朝から出かけており、綾は留守番だった。
物音を立てないように階段をおりて、おそるおそるリビングを覗く。
暗闇に目を凝らすと、キッチンに見覚えのある人影が見えた。
「五エ門……?」
そっと呼びかける。
影がゆらりと動いてこちらを見上げた。
「綾か。すまない…… 起こしてしまったな」
五エ門の声が返ってきたので、安心して歩み寄る。
「どうしたの」
「水を飲もうとして、グラスを…… 落としてしまった」
「私が片付けるから、こっちに来て」
五エ門はゆっくり綾の方へ近づいてきた。
「すまない……こんな夜更けに、世話を……かけて」
話し方がおかしい。
トーンもボリュームも最低限。
荒い呼吸と、何かを堪えるような無言に阻まれて、言葉も途切れ途切れだ。
綾は暗闇の中、五エ門の顔を見上げた。
当然、見えるはずもないが、彼は明らかに変だった。
「電気つけるね」
胸騒ぎを覚えつつ、綾は明かりをつけた。
眩しさに一瞬目を細める。
「あっ……!」
五エ門の身体が傾き、綾はそれに押されるようにしてトンッという軽い衝撃を背中に受ける。
気づいた時には、五エ門に両肩を掴まれて背後の冷蔵庫に押しつけられ、身動きが取れなくなっていた。
「ご、五エ門……?」
顔を見上げて言葉を失った。
五エ門は熱っぽく綾見つめていた。
潤んだ瞳と紅潮した頬が妙に色っぽく、綾はドキドキしてしまう。
そのまま見つめあっていると、五エ門がゆっくりと口を開いた。
「道中で移動販売車を見かけてな。次元が、あれは最近オナゴに人気があるやつだと言うから、美味しければ綾にも飲ませてやろうと思って試しに買い求めたのだが……それを飲んだ後から気分が悪くなったんだ。仕方なく後をルパン達に任せて先に帰ってきた」
「気分が悪いの?」
「あぁ。何か盛られたのかもしれん……かき混ぜたら底に変な沈殿物があった」
「⁉︎」
「変なんだ……先刻から、体がひどく熱くて」
五エ門は苦しそうに、切なげな顔で綾に訴えた。
「綾……助けてくれ、綾……」
弱々しい声で綾の名を呼び、彼女の肩に顔をうずめ、抱きしめる。
「五エ門……」
綾の頬に五エ門の柔らかな髪の毛が触れ、荒い息づかいが耳元で聞こえる。
抱きしめられた体から彼の体温が伝わった。
熱い。
「五エ門」
「熱いのに寒くて……あと喉も……」
「それ風邪!」
綾は叫んだ。
「早く横になって! 私、氷枕を用意するから!」
氷を用意をしながら、綾はドキドキする胸を押さえ、ため息をついた。
「あー、びっくりした……」
おわり
次ページおまけ→