負け犬にアンコールはいらない
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綾は黙って立ち上がった。
上着を着て玄関へ向かう。
「おいっ、綾。待てよ」
次元は慌てた様子でソファから腰を浮かした。
「本当に……行くのか」
綾は振り返って次元を見上げた。
彼は狼狽えたような顔をしていた。
「今更なによ」
さっきまでとは真逆の彼の表情に、綾は苛々を募らせる。
「貴方が言い出したんじゃない」
「それはっ…… 」
次元は口ごもった。
「あの時はつい、勢いで……」
沈黙。
「もういい」
綾は寂しそうに小さく笑った。
「私が弱かった。それだけなの」
「綾……」
彼女は出て行き、バタンとドアが閉められた。
思考が止まる。
彼女のいない人生なんて、考えられるか?
「綾!」
次元は慌てて彼女を追いかける。
「俺も行こう」
「あのさぁ!」
綾は眉間にシワを寄せて次元を睨んだ。
「それじゃ罰ゲームにならないでしょ! 負けた方がコンビニでアイス買ってくるって言ったの、次元じゃん!」
「それはそうなんだが」
次元は口の中でモゴモゴ言った。
「なぁ、3回勝負にしないか?」
「しない! 何回やっても結果は同じよ」
綾はため息をついた。
「だいたいね、五エ門ならともかく、貴方が将棋に強いなんて知らなかった」
「お前がヒドイんだ。いきなり王将を前に出す奴があるか」
「だって、1番強い駒だって五エ門が言ってたもん」
「だからって王様を最前線に送り込むとは…… 」
次元は笑った。
綾もつられて笑った。
そして、仲良くコンビニに向かった。
おわり
上着を着て玄関へ向かう。
「おいっ、綾。待てよ」
次元は慌てた様子でソファから腰を浮かした。
「本当に……行くのか」
綾は振り返って次元を見上げた。
彼は狼狽えたような顔をしていた。
「今更なによ」
さっきまでとは真逆の彼の表情に、綾は苛々を募らせる。
「貴方が言い出したんじゃない」
「それはっ…… 」
次元は口ごもった。
「あの時はつい、勢いで……」
沈黙。
「もういい」
綾は寂しそうに小さく笑った。
「私が弱かった。それだけなの」
「綾……」
彼女は出て行き、バタンとドアが閉められた。
思考が止まる。
彼女のいない人生なんて、考えられるか?
「綾!」
次元は慌てて彼女を追いかける。
「俺も行こう」
「あのさぁ!」
綾は眉間にシワを寄せて次元を睨んだ。
「それじゃ罰ゲームにならないでしょ! 負けた方がコンビニでアイス買ってくるって言ったの、次元じゃん!」
「それはそうなんだが」
次元は口の中でモゴモゴ言った。
「なぁ、3回勝負にしないか?」
「しない! 何回やっても結果は同じよ」
綾はため息をついた。
「だいたいね、五エ門ならともかく、貴方が将棋に強いなんて知らなかった」
「お前がヒドイんだ。いきなり王将を前に出す奴があるか」
「だって、1番強い駒だって五エ門が言ってたもん」
「だからって王様を最前線に送り込むとは…… 」
次元は笑った。
綾もつられて笑った。
そして、仲良くコンビニに向かった。
おわり