LUPIN
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「いい天気だなぁ」
ルパンは仰向けに寝そべったまま、手庇をして空を見上げた。
少し青臭さの残る芝生の上……
ではなく、ひと気のないバス停の屋根の上で。
正体不明の何者かに追われて身を隠している真っ最中だ。
「あーあ。こんな気持ちのいい日に、なんでこんな事になってんだか……」
ため息が漏れる。
遡ること数時間前。
ハッと我に返ったルパンは目の前の風景に目を見張った。
スクランブル交差点が青になったのを呆然と見つめ、動き出した人波に慌てて歩道の奥へと引っ込む。
(どうなっているんだ)
道路標識や店の看板の文字から、ここが日本だということは分かる。
だが、自分が何故ここにいるのか、どうやって来たのかは思い出せない。
さりげなく周囲を見回してみたが、監視されている様子もない。
不覚を取って拉致された経験も無くはないが、たいていは目を覚ますと拘束されていたり、鉄格子の中だったりするものだ。
こんな放置プレイにはついぞお目にかかったことがない。
(罠にしては、意図が読めねぇな)
状況が謎なだけに、気味が悪かった。
ふと気づくと記憶喪失で街角に立っていて、ポケットにはドル紙幣の束、コートの下の服には誰の物かも知れない血がべっとり……
そんな小説を思い出したが、どうやらそれとも違うらしい。
ショーウィンドウに映る自分の姿が普段と変わらないことにホッとしながら、ポケットを探って所持品を確認する。
愛銃。タバコとライター。ドル紙幣数枚。クレジットカード。
使い古しのブラックベリーが無事だったことを喜んだのも束の間、電話もメールも使えない。アドレスも履歴も全て消えている。
(壊れたか)
こんなことなら次元の言うことを聞いておけば良かったと、今さらながら後悔する。
『そーらみたことか。だからアップルにしておけって言ったんだ、俺は』
そんな声が聞こえてきそうだ。
(うるせー。俺はベリー派なんだよ)
使えなくなったブラックベリーを未練がましくポケットに戻し、ため息をついた。
「いたぞ、あそこだ!」
突然、耳に飛び込んできた声。
追われる身には聞きなれた台詞だ。
視線をやると、右手から黒いスーツにサングラスの二人組が横断歩道を渡ってくるところだった。
今どきそんなブルースブラザーズみたいな恰好で現れる連中も珍しい。
彼らは明らかにこちらをロックオンしており、ものすごい勢いで向かってきている。
(誰だ?)
心当たりは星の数ほどあって絞り切れなかったが、誰だろうとおとなしく捕まってやる気はない。
(状況を把握するために、わざと捕まってみる手もあるが、どうすっかな……)
二人組が目の前まで迫った時。
急に肌がチリチリと危険を訴え、『逃げろ』と本能が叫んだ。
腕をつかもうとしたひとりをひらりと避け、正面に立ちはだかったもうひとりをステップを踏んでフェイントでかわす。
赤に変わろうとしていた横断歩道へ走り出した。
「逃げたぞ、追え!」
背後でまたもお決まりの台詞が響いた。
ルパンは仰向けに寝そべったまま、手庇をして空を見上げた。
少し青臭さの残る芝生の上……
ではなく、ひと気のないバス停の屋根の上で。
正体不明の何者かに追われて身を隠している真っ最中だ。
「あーあ。こんな気持ちのいい日に、なんでこんな事になってんだか……」
ため息が漏れる。
遡ること数時間前。
ハッと我に返ったルパンは目の前の風景に目を見張った。
スクランブル交差点が青になったのを呆然と見つめ、動き出した人波に慌てて歩道の奥へと引っ込む。
(どうなっているんだ)
道路標識や店の看板の文字から、ここが日本だということは分かる。
だが、自分が何故ここにいるのか、どうやって来たのかは思い出せない。
さりげなく周囲を見回してみたが、監視されている様子もない。
不覚を取って拉致された経験も無くはないが、たいていは目を覚ますと拘束されていたり、鉄格子の中だったりするものだ。
こんな放置プレイにはついぞお目にかかったことがない。
(罠にしては、意図が読めねぇな)
状況が謎なだけに、気味が悪かった。
ふと気づくと記憶喪失で街角に立っていて、ポケットにはドル紙幣の束、コートの下の服には誰の物かも知れない血がべっとり……
そんな小説を思い出したが、どうやらそれとも違うらしい。
ショーウィンドウに映る自分の姿が普段と変わらないことにホッとしながら、ポケットを探って所持品を確認する。
愛銃。タバコとライター。ドル紙幣数枚。クレジットカード。
使い古しのブラックベリーが無事だったことを喜んだのも束の間、電話もメールも使えない。アドレスも履歴も全て消えている。
(壊れたか)
こんなことなら次元の言うことを聞いておけば良かったと、今さらながら後悔する。
『そーらみたことか。だからアップルにしておけって言ったんだ、俺は』
そんな声が聞こえてきそうだ。
(うるせー。俺はベリー派なんだよ)
使えなくなったブラックベリーを未練がましくポケットに戻し、ため息をついた。
「いたぞ、あそこだ!」
突然、耳に飛び込んできた声。
追われる身には聞きなれた台詞だ。
視線をやると、右手から黒いスーツにサングラスの二人組が横断歩道を渡ってくるところだった。
今どきそんなブルースブラザーズみたいな恰好で現れる連中も珍しい。
彼らは明らかにこちらをロックオンしており、ものすごい勢いで向かってきている。
(誰だ?)
心当たりは星の数ほどあって絞り切れなかったが、誰だろうとおとなしく捕まってやる気はない。
(状況を把握するために、わざと捕まってみる手もあるが、どうすっかな……)
二人組が目の前まで迫った時。
急に肌がチリチリと危険を訴え、『逃げろ』と本能が叫んだ。
腕をつかもうとしたひとりをひらりと避け、正面に立ちはだかったもうひとりをステップを踏んでフェイントでかわす。
赤に変わろうとしていた横断歩道へ走り出した。
「逃げたぞ、追え!」
背後でまたもお決まりの台詞が響いた。