嵐を呼ぶレディ
Nawe Change
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メインマストに命綱のロープを回したところで、素っ頓狂な声が聞こえた。
「リョウ⁉︎」
振り返るとシルバーがステーに足を絡ませて立っていた。フローラの腕を掴んでいる。
フローラはスカートが水を含んで重くなり、身動き出来ずに波に攫われそうになったところをシルバーが引き留めたのだった。
「良かった、ご無事ですね! 船長、フローラ様をお願いします!」
綾がマストにロープを結ぶのを見て、シルバーは叫んだ。
「何やってんだ! 危ないから下へ降りろ!」
その時、デッキが波をかぶり、綾の姿が消えた。
「リョウ!」シルバーが叫ぶ。
フローラの悲鳴があがった。
波がひくと、綾は命綱を手繰り寄せて体勢を立て直そうとしていた。
「ニック、そこにいる⁉︎」綾が叫んだ。
「フローラ様をオーロップのドクターの所にお連れして! 私より安全だわ!」
シルバーは目を見開いた。
「リョウ、お前もだ! お前も下りろ!」
「嫌です! この非常時に、ひとり安全な所になんていられません!」
デッキの上を引いていく波に足を取られそうになりながら、綾は懸命に叫んだ。
フローラは青ざめた顔でハラハラしながら綾を見つめている。
「あのなぁ! お前は女なんだぞ⁉︎」
「私だって乗組員の一人です! お願い、役に立ちたいの!」
シルバーはじっと綾を見つめた。彼女は既にメインマストのヤードを下ろす手伝いに加わろうとしている。
「ニック、レディをオーロップへお連れしろ」
シルバーは後ろに控えていたニックにフローラを引き渡した。フローラが不満そうに声を上げる。
「ミスタ・ゴールディ!」
「キャプテンとして言います。貴女はオーロップへ行くべきだ。……頼んだぞニック」
シルバーはステーに引っかけていた足を離し、綾に駆け寄った。
彼女の手の上からロープを掴む。
「せ、船長⁉︎」
「無茶はするな。俺の心臓が持たん」マストを見上げたままシルバーが言った。
「俺の指示には従ってくれ」
「はい……!」
その様子をフローラはしばらく見つめていたが、やがて小さなため息をついた。
「……失礼するスよ、お嬢さん」ニックがフローラを担ぎ上げ、そのまま昇降階段へ向かう。
「おいっ! レディになんてことを……!」
ニックはいつも綾を船に担ぎ上げるのと同じようにしただけだったが、キースが慌てて止めに入った。
「彼女は荷物じゃない、綾みたいに担ぐな! 丁重に扱え!」
「……リョウは荷物なんスね……」
ニックは笑って言った。
「リョウ⁉︎」
振り返るとシルバーがステーに足を絡ませて立っていた。フローラの腕を掴んでいる。
フローラはスカートが水を含んで重くなり、身動き出来ずに波に攫われそうになったところをシルバーが引き留めたのだった。
「良かった、ご無事ですね! 船長、フローラ様をお願いします!」
綾がマストにロープを結ぶのを見て、シルバーは叫んだ。
「何やってんだ! 危ないから下へ降りろ!」
その時、デッキが波をかぶり、綾の姿が消えた。
「リョウ!」シルバーが叫ぶ。
フローラの悲鳴があがった。
波がひくと、綾は命綱を手繰り寄せて体勢を立て直そうとしていた。
「ニック、そこにいる⁉︎」綾が叫んだ。
「フローラ様をオーロップのドクターの所にお連れして! 私より安全だわ!」
シルバーは目を見開いた。
「リョウ、お前もだ! お前も下りろ!」
「嫌です! この非常時に、ひとり安全な所になんていられません!」
デッキの上を引いていく波に足を取られそうになりながら、綾は懸命に叫んだ。
フローラは青ざめた顔でハラハラしながら綾を見つめている。
「あのなぁ! お前は女なんだぞ⁉︎」
「私だって乗組員の一人です! お願い、役に立ちたいの!」
シルバーはじっと綾を見つめた。彼女は既にメインマストのヤードを下ろす手伝いに加わろうとしている。
「ニック、レディをオーロップへお連れしろ」
シルバーは後ろに控えていたニックにフローラを引き渡した。フローラが不満そうに声を上げる。
「ミスタ・ゴールディ!」
「キャプテンとして言います。貴女はオーロップへ行くべきだ。……頼んだぞニック」
シルバーはステーに引っかけていた足を離し、綾に駆け寄った。
彼女の手の上からロープを掴む。
「せ、船長⁉︎」
「無茶はするな。俺の心臓が持たん」マストを見上げたままシルバーが言った。
「俺の指示には従ってくれ」
「はい……!」
その様子をフローラはしばらく見つめていたが、やがて小さなため息をついた。
「……失礼するスよ、お嬢さん」ニックがフローラを担ぎ上げ、そのまま昇降階段へ向かう。
「おいっ! レディになんてことを……!」
ニックはいつも綾を船に担ぎ上げるのと同じようにしただけだったが、キースが慌てて止めに入った。
「彼女は荷物じゃない、綾みたいに担ぐな! 丁重に扱え!」
「……リョウは荷物なんスね……」
ニックは笑って言った。