日常と違和感
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朝、目が覚めた時には次元さんはいなかった。私に気を使ってくれたのかもしれない。
ベッドから抜け出し、カーテンを開ける。
柔らかな陽射しが床に金色の陽だまりを作る。ワックスの効いた床が、そこだけクリームブリュレのキャラメリゼみたいにつやつやと光った。
ため息をつきながらナイトシャツを一気に頭の上まで引き上げ、ベッドの上に脱ぎ捨てた。
クローゼットを探り、自分の物らしい濃い色のジーンズと、真っ白いシャツを見つけ出して着る。シャツは丁寧にアイロンがかかっており、清潔なリネンの香りがした。
「おはようさん」
リビングに行くとルパンさんが声をかけてくれた。
コーヒーにたっぷりの砂糖と牛乳を入れて渡してくれる。私の好みを知っているみたいだった。
「ありがとうございます」
私はコーヒーを飲みながらリビングを見回した。
ソファとテーブル。テレビ。綺麗に片付いているのになぜか新聞だけがテレビの横に山積みになっている。サイドボードにはお酒のボトル。リビングの奥にはキッチンが見えた。
相変わらず見覚えはなく、他人の家にいるみたいだった。
「ねぇ綾。そんな不安そうな顔しないで」 ルパンさんが向かいのソファーに座って私の顔を覗き込んだ。
「そのうち思い出すよ」
「そうでしょうか。私、何にも覚えていなくて……」
「記憶喪失なんだから、覚えていなくて当たり前だろ? あっ、もしかしたら警察の遺失物係に届けられてっかも!」
「あはは、そんなこと……」
ルパンさんの言葉に思わず笑ってしまう。ルパンさんは満足そうに笑みを浮かべた。
「そう、それ! 綾は笑顔が一番だよ」
「ありがとうございます」
「何を呑気なことを言ってるんだ」 次元さんがフレンチトーストのお皿を私の前に置いた。
次元さんの顔はどこか渋く、やや苛立っているように見えた。
「ずっと思い出せなかったらどうするんだ。ずっと苦しんでくのか」
「あのねぇ、次元。モノにはタイミングっつーもんがあるわけよ。その時になりゃあ神様が……」
「神様なんざ信じてないくせに、よく言うぜ」
「信じる信じないの話じゃねぇよ。例え話だって」
二人のやりとりを聞いているうちに笑いが込み上げてくる。私が笑っていることに気づいた二人は一瞬黙った後、顔を見合わせて言った。
「ほら、やっぱり綾はこうでなくちゃ!」
「あぁ……そうだな」
そう同意したものの、次元さんはやっぱり何か言い足りない様子だった。
ベッドから抜け出し、カーテンを開ける。
柔らかな陽射しが床に金色の陽だまりを作る。ワックスの効いた床が、そこだけクリームブリュレのキャラメリゼみたいにつやつやと光った。
ため息をつきながらナイトシャツを一気に頭の上まで引き上げ、ベッドの上に脱ぎ捨てた。
クローゼットを探り、自分の物らしい濃い色のジーンズと、真っ白いシャツを見つけ出して着る。シャツは丁寧にアイロンがかかっており、清潔なリネンの香りがした。
「おはようさん」
リビングに行くとルパンさんが声をかけてくれた。
コーヒーにたっぷりの砂糖と牛乳を入れて渡してくれる。私の好みを知っているみたいだった。
「ありがとうございます」
私はコーヒーを飲みながらリビングを見回した。
ソファとテーブル。テレビ。綺麗に片付いているのになぜか新聞だけがテレビの横に山積みになっている。サイドボードにはお酒のボトル。リビングの奥にはキッチンが見えた。
相変わらず見覚えはなく、他人の家にいるみたいだった。
「ねぇ綾。そんな不安そうな顔しないで」 ルパンさんが向かいのソファーに座って私の顔を覗き込んだ。
「そのうち思い出すよ」
「そうでしょうか。私、何にも覚えていなくて……」
「記憶喪失なんだから、覚えていなくて当たり前だろ? あっ、もしかしたら警察の遺失物係に届けられてっかも!」
「あはは、そんなこと……」
ルパンさんの言葉に思わず笑ってしまう。ルパンさんは満足そうに笑みを浮かべた。
「そう、それ! 綾は笑顔が一番だよ」
「ありがとうございます」
「何を呑気なことを言ってるんだ」 次元さんがフレンチトーストのお皿を私の前に置いた。
次元さんの顔はどこか渋く、やや苛立っているように見えた。
「ずっと思い出せなかったらどうするんだ。ずっと苦しんでくのか」
「あのねぇ、次元。モノにはタイミングっつーもんがあるわけよ。その時になりゃあ神様が……」
「神様なんざ信じてないくせに、よく言うぜ」
「信じる信じないの話じゃねぇよ。例え話だって」
二人のやりとりを聞いているうちに笑いが込み上げてくる。私が笑っていることに気づいた二人は一瞬黙った後、顔を見合わせて言った。
「ほら、やっぱり綾はこうでなくちゃ!」
「あぁ……そうだな」
そう同意したものの、次元さんはやっぱり何か言い足りない様子だった。