すべての記憶
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大きな自然公園に入って、ベンチに腰掛けた。乳白色の陽が木々を照らし、朝露に濡れた芝を輝かせている。時折、甲高く鳥が鳴いている。
(記憶が戻ったら、私はどうなるんだろう……)
早く思い出したいと思っていたのに、今になって不安なるなんて……
サクサクと、背後で草を踏む音がした。振り返る間もなく数人の男たちが私を取り囲む。
一様に剣のある顔をした、見るからにガラの悪い男たちだった。
私は立ち上がり、平静を装って歩き出そうとした。男の一人が立ちはだかり、行く手を遮る。
「やっと見つけたぞ」
「……え?」
言葉の意味がすぐには理解できなかった。
見つけた? 私を?
背筋に冷たいものが走る。
「人違いで……」
言いかけた私に男が凄んだ。
「とぽけるな。宝石はどこだ」
(宝石……?)
あのコインロッカーの────
一瞬、顔がこわばる。
その変化を見逃す彼らではなかった。
「心当たりがあるようだな」
「ちがっ、違う、私は……っ」
声が上擦って、かえって不審がられてしまう。男たちの視線が鋭くなる。
「それで惚けているつもりか」
一人がそう言って一歩私に近づく。私は一歩後退する。別の一人が回り込んで退路を塞いだ。
心臓がドクンと大きく跳ねる。
(逃げなきゃ……でも、どうやって?)
思考が空回りする。足がすくんで動けない。
「本当に知らないんです……!」
必死に否定するけれど、相手に伝わったのは言葉ではなく、私の動揺だけだった。
「なら、思い出させるまでだ」
男がそう言って、私に手を伸ばした時だった。
「……おい」
低く、静かな声が空気を震わせた。
私の目に黒い背中が飛び込んでくる。長身のシルエット、帽子を深くかぶったその背中。迷いも、隙もない。
「次元さんっ……」
思わず名前を呼びかけると、背中越しに低く短く言葉が返ってきた。
「下がってろ」
その声を聞いた瞬間、頭の奥がちかっと閃いた。
────下がってろ!
同じ言葉。けれどこれは、今の次元さんじゃない。もっと遠くの、記憶の中の声だ。
私の前に立ちはだかる、同じ背中。
それは、突きつけられた銃口の前で私をかばうように立っていた。
今目の前にあるのは、あの時と同じ、揺るがない背中だった。
(記憶が戻ったら、私はどうなるんだろう……)
早く思い出したいと思っていたのに、今になって不安なるなんて……
サクサクと、背後で草を踏む音がした。振り返る間もなく数人の男たちが私を取り囲む。
一様に剣のある顔をした、見るからにガラの悪い男たちだった。
私は立ち上がり、平静を装って歩き出そうとした。男の一人が立ちはだかり、行く手を遮る。
「やっと見つけたぞ」
「……え?」
言葉の意味がすぐには理解できなかった。
見つけた? 私を?
背筋に冷たいものが走る。
「人違いで……」
言いかけた私に男が凄んだ。
「とぽけるな。宝石はどこだ」
(宝石……?)
あのコインロッカーの────
一瞬、顔がこわばる。
その変化を見逃す彼らではなかった。
「心当たりがあるようだな」
「ちがっ、違う、私は……っ」
声が上擦って、かえって不審がられてしまう。男たちの視線が鋭くなる。
「それで惚けているつもりか」
一人がそう言って一歩私に近づく。私は一歩後退する。別の一人が回り込んで退路を塞いだ。
心臓がドクンと大きく跳ねる。
(逃げなきゃ……でも、どうやって?)
思考が空回りする。足がすくんで動けない。
「本当に知らないんです……!」
必死に否定するけれど、相手に伝わったのは言葉ではなく、私の動揺だけだった。
「なら、思い出させるまでだ」
男がそう言って、私に手を伸ばした時だった。
「……おい」
低く、静かな声が空気を震わせた。
私の目に黒い背中が飛び込んでくる。長身のシルエット、帽子を深くかぶったその背中。迷いも、隙もない。
「次元さんっ……」
思わず名前を呼びかけると、背中越しに低く短く言葉が返ってきた。
「下がってろ」
その声を聞いた瞬間、頭の奥がちかっと閃いた。
────下がってろ!
同じ言葉。けれどこれは、今の次元さんじゃない。もっと遠くの、記憶の中の声だ。
私の前に立ちはだかる、同じ背中。
それは、突きつけられた銃口の前で私をかばうように立っていた。
今目の前にあるのは、あの時と同じ、揺るがない背中だった。