記憶のかけら
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次の日には、次元さんはいつも通りに戻っていた。昨夜の出来事が嘘のようだった。
ルパンさんも相変わらずだった。
「……あれさ、足りない物があってパーツが完成しないんだよね」
「何だ、その足りないモンてのは」
「銅線とピーナツバター」
「はぁ? ピーナツバターなんかどうするつもりだ」
「え? そりゃ食べるに決まってんでしょ。あれ食べないと作る気になんないの」
ルパンさんはそう言って笑っている。
私はカフェオレを飲みながら二人をずっと観察していた。
今のところ、妙な行動も怪しい会話もない。本当に、いつも通りだった。
「綾?」目の前で手を振られてハッとする。怪訝そうな顔のルパンさんと目が合った。
「ぼんやりしちゃって。どうした?」
いけない。観察に一生懸命で、会話を聞き漏らしていた。
「俺の顔に何かついてる?」
「いえ、別に……」
私はすましてカップに口をつける。
「そんなに見つめられるとさ、俺、好きになっちゃうよ?」
「ぶっ」
ゴホゴホ……。私と次元さんは揃ってコーヒーを吹いて咳き込んだ。
「あらら、仲のいいことで。だいじょぶ?」
「誰のせいだと思ってんだ!」
次元さんが声を上げたが、ルパンさんは知らん顔で私に悪戯っぽく笑ってみせる。
(私を揶揄ってるだけ? それとも、何か気づいてる……?)
心がざわついて、落ち着かなかった。
その後、ルパンさんはピーナツバターを買いに出かけて行った。
本当のところは分からない。後をつけた方が良かったかなと、チラッと思った。
テーブルにカップを置く音がしてハッと顔を上げる。
次元さんが私を見ていた。
「顔色が悪いな」
「え? いえ、そんなこと……」
自分の声がわずかにうわずっているのが分かった。やましいことを考えていたせいだ。
「寝不足か?」
次元さんは少しだけ身を乗り出して、私の顔を覗き込んだ。真っ直ぐに向けられる視線に、ドキッとする。
「いえ……」
「熱でもあるんじゃないのか」
彼の手が伸びてきた。指先が額に触れた瞬間、息が止まりそうになる。
「だ、大丈夫です!」
慌てて身を引こうとした途端、ソファに足を取られてよろめいた。
「あっ、」
とっさに彼の腕を掴んだ。
その瞬間、視界が滲んで頭の中で何かが弾ける。
駅の証明写真ボックス。
────何言ってんだ、これは一人用だろうが!
────照れてないで、ホラ!
────照れてない、嫌がってんだ!
「……っ!」
私は息を呑み、反射的に彼の腕を放した。
「大丈夫か?」
少し驚いたような声が落ちてくる。
「あ……ごめんなさい」
顔を伏せたまま、胸に手を当てる。
心臓が、今にも飛び出しそうなくらい暴れていた。
ルパンさんも相変わらずだった。
「……あれさ、足りない物があってパーツが完成しないんだよね」
「何だ、その足りないモンてのは」
「銅線とピーナツバター」
「はぁ? ピーナツバターなんかどうするつもりだ」
「え? そりゃ食べるに決まってんでしょ。あれ食べないと作る気になんないの」
ルパンさんはそう言って笑っている。
私はカフェオレを飲みながら二人をずっと観察していた。
今のところ、妙な行動も怪しい会話もない。本当に、いつも通りだった。
「綾?」目の前で手を振られてハッとする。怪訝そうな顔のルパンさんと目が合った。
「ぼんやりしちゃって。どうした?」
いけない。観察に一生懸命で、会話を聞き漏らしていた。
「俺の顔に何かついてる?」
「いえ、別に……」
私はすましてカップに口をつける。
「そんなに見つめられるとさ、俺、好きになっちゃうよ?」
「ぶっ」
ゴホゴホ……。私と次元さんは揃ってコーヒーを吹いて咳き込んだ。
「あらら、仲のいいことで。だいじょぶ?」
「誰のせいだと思ってんだ!」
次元さんが声を上げたが、ルパンさんは知らん顔で私に悪戯っぽく笑ってみせる。
(私を揶揄ってるだけ? それとも、何か気づいてる……?)
心がざわついて、落ち着かなかった。
その後、ルパンさんはピーナツバターを買いに出かけて行った。
本当のところは分からない。後をつけた方が良かったかなと、チラッと思った。
テーブルにカップを置く音がしてハッと顔を上げる。
次元さんが私を見ていた。
「顔色が悪いな」
「え? いえ、そんなこと……」
自分の声がわずかにうわずっているのが分かった。やましいことを考えていたせいだ。
「寝不足か?」
次元さんは少しだけ身を乗り出して、私の顔を覗き込んだ。真っ直ぐに向けられる視線に、ドキッとする。
「いえ……」
「熱でもあるんじゃないのか」
彼の手が伸びてきた。指先が額に触れた瞬間、息が止まりそうになる。
「だ、大丈夫です!」
慌てて身を引こうとした途端、ソファに足を取られてよろめいた。
「あっ、」
とっさに彼の腕を掴んだ。
その瞬間、視界が滲んで頭の中で何かが弾ける。
駅の証明写真ボックス。
────何言ってんだ、これは一人用だろうが!
────照れてないで、ホラ!
────照れてない、嫌がってんだ!
「……っ!」
私は息を呑み、反射的に彼の腕を放した。
「大丈夫か?」
少し驚いたような声が落ちてくる。
「あ……ごめんなさい」
顔を伏せたまま、胸に手を当てる。
心臓が、今にも飛び出しそうなくらい暴れていた。